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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-22-Tuesday まちづくり(10)

2001年5月19日(土)十勝毎日新聞掲載『「スローフード」と「ファストフード」〜季節を感じ旬を味わう 十勝ならではのスタイルに〜』

イタリアでおこったスローフード運動の定義は「食べ物の質と安全性と経済性に立脚した、人と人、人と自然の関係性の問題を追及する運動」であると「スローフードな人生(島村菜津著)」に書かれていた。また、スローフードとファストフードとの違いはただ単に早いか遅いかという次元の問題ではなく次の三点があるかないかであると。

①ありとあらゆる多様な注文が可能であり、その注文に対応できること。

②会話が豊富であり、人と人との交流があること。

③そこで働く人々の個性が輝いていること。

これは「北の屋台」が目指すところとまったく同じ理念である。

最近のファストフード店同士の異常な低価格競争は利益性を無視した無理な営業をしている。価格競争とはつまるところ体力勝負であり、中小零細店が巨大チェーン店に体力で勝てるはずはない。巨大ファストフードチェーンには真似できない手法で付加価値を付け、適正な利益を確保しなくては生きていけなくなる。

冷暖房や空調で管理された建物の中は確かに快適だが、北海道であろうがハワイであろうが建物の中は世界中どこでも同じになってしまい、せっかくの季節や場所の特性を殺してしまっている。逆に言うとこれはファストフードチェーン店の世界制覇戦略なのだ。世界中同じマーク、同じ店舗、同じ味、同じメニュー、同じサービスにする。均質化しなくてはマニュアルが生きないからだ。場所の特性や働く人の個性は邪魔にしかならない。売り手側の論理でひたすら効率性を追求するのみだ。

料理には本来人をもてなす心が重要であり、食事はただ単に腹を満たす為だけの行為ではないはずだ。食べる人の好みに合わせた味付けや季節感や旬を感じさせる料理は、きっと現代人が失った何かを再発見させてくれるのではないかと期待している。

北海道の冬の室温は高過ぎる。ほとんどの建物が26℃以上にセットされ、しかもどの部屋もが暖かい。真冬にTシャツでビールを飲むというライフスタイルは北海道だけに見られる異常な光景だ。日本全国の冬期間の室温は高くてもせいぜい20℃くらいで生活している。北海道人は日本一寒がりの人種なのかもしれない。

カナダのエドモントン市は冬はマイナス30℃を越える寒いところで、ビルとビルの間をスカイウェイでつないで外に出なくても街の中を歩けるようにしている都市だが、そんな寒い所にもアウトドアカフェ(オープンカフェ)があった。土地の人に言わせると「夏が短いからこそ、その短い夏を存分に楽しむのさ」とのこと。十勝人にはこの心意気が欠けているのではなかろうか。

21世紀は環境の世紀。化石燃料である灯油をガンガン燃やして暖かくすることは地球温暖化にとっても良くない生活態度であり、省エネルギー型に切り替える必要がある。

季節を感じながら、旬を味わいながら、一期一会の風情で遊ぶ、十勝ならではの価値観とライフスタイルを「北の屋台」で創り出したい。