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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-08-18-Monday 大道芸フェス(3)

徐々に大道芸の面白さが浸透してきた

2004年に十勝毎日新聞社の事業部から、大道芸を実行委員会組織にしないかとの打診があった。実行委員会組織にすれば北海道庁から3年間にわたって毎年100万円ずつの補助金がもらえるというのである。

北の屋台のイベント経費と私のポケットマネーだけでは限界があるし、なにより事務局としての煩雑な作業が大変な重荷になっていたのも事実である。帯広の観客にもかなり大道芸の面白さが浸透してきたから、ここいらでイッチョ大掛かりにして大勢の芸人を一度に招集して観客を思い切り楽しませてみようかとも考えたのだ。

芸人さんとのコンタクトをしてもらっていたファニーボーンズ(クリス&けーぼー)が所属する事務所の社長でもある金丸雪菜さんに相談したら、帯広の大道芸は芸人間での評判が高くて、行きたがる芸人さんの数も増えているので歓迎するとの返事である。

だが、芸人の数をただ増やすだけでは、大道芸を使ったまちづくりにはつながらない。雪菜社長と今後の方向性とコンセプトを何度も話し合って、「帯広の大道芸フェスティバルは他所の地域で行っている同種のイベントとはコンセプトが異なるものにしよう」ということで意見が一致した。

すなわち、ただ単に芸人にギャラを支払って来てもらう、興行主と出演者というような関係ではなく、芸人さんもスタッフもアットホームな雰囲気の中で共に楽しみながら会を運営していくことにしたのだ。だがそれはけっしてナァナァな関係などではなく、帯広のまちを一緒につくっていく、参加することが楽しくなる、そんな関係性を作ろうと意図したのである。そして、これまでこの関係性は非常に良好に進んでいる。

お客さんと芸人とスタッフの関係性というのは、良い芸能には重要な要素なのである。

昨今テレビ界では「お笑い芸人」の番組がやたらと増えているが、彼等の演技時間は短くなる一方である。中には1分間で次々と出演者が入れ替るお笑い番組があるが、あれでは「一発芸」や「瞬間芸」になってしまい、キャラクターの面白さで受けるか、顔や格好などの面白さで受けるかしかなくなり、本来の話芸すら発揮することが出来ない傾向にある。これでは芸人の使い捨てである。

しかもテレビというのはテレビ局区側の一方的な発信、観客の一方的な受信という関係性であるが、大道芸は芸人と観客とスタッフが協力して共に「場」を作り上げていく芸能なのである。つまり大道芸というのはコミュニケーションが発生している空間なのである。

芸人と観客のやりとり、そしてそれを支えるスタッフの三者が揃って初めて楽しい「場」が創造できるのだ。

7年も続けていると、観客もそうした芸人とのやり取りが体感できているから、今年の大道芸には随所に、この良好なコミュニケーションの場が出現していた。

今年のフェスティバルでは観客も芸人もスタッフも確実にそれを実感したことと思う。そうなると来年に向けて更に面白い企画を実現させてみようという力が湧いてくるのだ。まちづくりにはこうしたやる気を出させる仕組みが大切なのである。