「北の大地de大道芸」
今年の出演者は7組9名、クラウン芸から絵描きまでバラエティに富んだ人選をした。十勝の客のマナーは格段に良くなってきている。観客が集まり易い、乗りが良い、投げ銭(見物料)が多いと三拍子揃っていた。7年続けたことで見方が浸透してきたのだろう。
十勝の大道芸フェスティバルは手作りのイベントだ。7年前(2002年)に、旧知のマジシャンから大道芸をする場所を確保できないかとの相談があったので、平原まつりに坂本ビル前で演技してもらうことにした。マンネリ化したまつりに新風を注ぎ込みたかったのである。まつり前日に帯広入りした女性社長、イギリス+日本人コンビの3人と、かつてプロマジシャンを目指したことのある私は、芸能談義を激しく交わし合い、すっかり意気投合したのであった。
彼等の芸は、本物であったから観客にもおおいにうけた。テレビで芸NO人たちのくだらない番組ばかりを見せられていた人達にはとても新鮮に映ったことであろう。
気候は涼しい、食べ物は美味い、客の反応も良いということで、来年は仲間達を大勢引き連れて来たいと言ってくれた。
だが、芸人の数を増やすだけでは、大道芸を使ったまちづくりにはつながらない。「十勝の大道芸は他所の地域の同種イベントとは異なるコンセプトで運営する」ことで意見が一致した。すなわち、興行主と出演者というタテの関係ではなく、芸人もスタッフも共に楽しみながら運営するヨコの関係にしたかったのだ。だがナァナァな関係ではない。例えば連帯感やワクワク感を創りだすためにスタッフと芸人の楽屋を一緒にしてあるから、出番合間の入念な練習風景や人となりなどが垣間見られるのだ。この手法は良好に進んでいる。
大道芸は芸人と観客とスタッフの三者が協力して「場」を作り上げていく芸能である。いわばコミュニケーション空間なのである。今年の大道芸では芸人にいじられた素人の観客の反応が芸人の演技よりもうけていた場面が何度か見受けられた。芸人と観客のやりとり、そしてそれを支えるスタッフが揃って初めて楽しい「場」が創造できるのだ。
7年続けていると、観客もその辺のやり取りが体感できているからか、今年の大道芸には随所に、この絶妙なコミュニケーションの「場」が出現していた。
そうなるとまた来年に向けて更に面白い企画を実現させてみようという力が湧いてくる。「まちづくり」にはこうしたやる気を継続して出させる仕組みが重要だと考える。