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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2009-06-27-Saturday 座談会

読売新聞社の座談会が札幌で開催された。

識者座談会「観光ビッグバンにどう対応するかー〔大国〕北海道の挑戦(仮題)」という題で、石森秀三(北海道大学観光学高等研究センター長)・かとうけいこ(シーニックバイウェイ支援センター広報部長)・ロス・フィンドレー(NAC代表〔観光カリスマ〕)そして私の4人による座談会である。

これからの北海道経済を発展させる為には「観光」が重要なポジションを占めることに異論がある人は少ないと思うが、その方法論には多様なアプローチの仕方がある。

私の持論は「すぐに良く出来る即効性のある薬はないし、もし、あったとしてもそれは劇薬で、副作用の方が怖い。だから漢方薬のようにじっくり、コツコツと計画的にやっていくしかない。」ということである。

先の「新型インフルエンザ」でもそうだったが、観光は突発的な事件等で急激な影響を受けてしまう脆弱なものでもあるし、昨年のリーマンショック以来の不況で富裕層向けの観光も打撃を受けている状況だ。

特に北海道の場合は、夏のオンシーズンと冬のオフシーズンとの間に極端な差がある為に、通年での安定した営業が出来ないのが難点なのである。

ここ10年の間に観光は劇的な変化を遂げた。それはマイ・コンピュータの発達である。インターネットによって情報量が格段に増えたことと、また、隣近所の人間や会社での人間関係も希薄になって個人主義が主流になったことで、会社や町内会などの団体旅行がほとんど姿を消したのだ。

昔は旅行は一生の内に数度しか出来ないものだったから、旅行に行く人に「餞別」を与えて、お土産を買ってきてもらうという風習もあったが、旅行が日常茶飯事になったことによって、餞別という風習が無くなった。家も狭いから「熊の置物」のどの嵩張る土産物はもらっても迷惑になり、ほとんど売れなくなったのだ。

個人は自らインターネットの情報網を使って、旅先のあらゆる情報を得ることが可能になった。その結果、観光客用に作られた施設には段々行かなくなり、地元の人間が良く行く場所に行きたがるようになったのである。

北海道の温泉地などの大ホテルは、一旦自分のホテルに入館した客は一歩たりとも外には出させない政策を取ったから、温泉街は廃れてしまった。ホテルの中はいわゆる健全なものしか造れない。妖しげな秘宝館やストリップ小屋や射的場などの猥雑な非日常を求めて温泉に行く客のニーズを自ら破壊してしまったのだ。

北海道観光をもう一度榮えさせるには、「食」と「健康」と「環境」がキーワードになるだろうと思う。北海道イコール「カニ」で客にはカニさえ食べさせておけば良いというやり方はもう終わったのだ。

山の中のホテルも海沿いのホテルも同じメニューを出していたのでは客は満足しない。

それぞれの場所が特色を出す時代なのだ。お金を掛けた施設が必要な訳ではない。要はホスピタリティが重要なのだ。

後日もっと詳しく書くが、今日はこの辺にしておく。この座談会の模様は7月24日付けの読売新聞朝刊の北海道版に掲載予定である。