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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2009-07-21-Tuesday 読売新聞「風向計」

読売新聞北海道版7月19日(金)「風向計」掲載

「地元」発見から地域振興

「こんなに素敵な場所で生活しているんだぞ。どうだ!うらやましいだろう?」自分の暮らす地域を他人に自慢したい。でも、その方法が分からない。そんな人たちが多いのではないだろうか?

そもそも、自分の暮らしている地域に自慢できる場所なんてあるのだろうか?と思っている人も多いことだろう。

そんな人は感動する心の余裕を失っている人ではないだろうか。生まれた時からずっと見慣れている風景が「あたりまえ」になってしまい、その素晴らしさに気付かないのだ。かくいう私も10数年前までは気付かなかった一人であった。

「十勝場所と環境ラボラトリー」という組織で、十勝を地球環境のモデル地域にしようと9つのプロジェクトを同時に展開した。そのプロジェクトの1つ「国際環境大学公開講座」を、毎月1回延べ80人の著名な学者や作家を招いて開催した際に、彼らを「十勝ファン」にしてしまおうという戦略をたてた。十勝が大好きになってくれれば、自費でまた来ようと思ってくれるかもしれない、情報発信力のある人たちばかりだから色々な所で十勝の宣伝をしてくれるかもしれない、などと勝手に都合の良いことを考えたのである。

とはいえ、私たち自身が十勝のことを「誇り」に思わなければ、その気持ちは伝わらない。だから、色々な場所に行って自ら体験した。すると、知らないことのなんと多いことか。例えば、帯広市の都心部に生まれ育った私は、それまで夜空の素晴らしさを知らなかった。人工の明かりがない場所で寝転んで夜空を眺めると、満月の光のなんと明るいことか、逆に、新月の時には星の数のなんと多いことか。満月なら懐中電灯など必要ないほど明るいし、新月には「天の川」というのも実感できた。なにより流れ星が何個も見えた時には幸福感すらわき起こった。

お金をかけるだけが、もてなしではない。普段の生活では体験できないことが感動を生むのだ。まず自らが感動し、自らがファンにならなければならない。自分が心底素晴らしいと思えないようなことを他人に勧められるわけがない。無いものねだりをするよりも、埋もれている宝物を発見するのだ。

前述した戦略はものの見事に成功した。その後何度も家族や仲間連れで十勝を訪れてくれる講師が多い。帯広中心街に開設した屋台村「北の屋台」の成功も彼らの情報発信効果が大きかったと思っている。

地域振興は地元の発見から始まる。コツコツと地道にやるのが結局は早道なのだろう。