土曜日21:05からのレイトショーで、例によって妻と2人で「夫婦50歳割引」で2000円で見たのだ。2時間で一人1000円で楽しめる映画は安くて良い娯楽である。
この「第9地区」は最近見たSF映画の中では出色の不思議な感覚に陥る映画である。その晩の夢にまで出て来たのだから、よっぽど脳裏に残ったのだろうと思う。
なにしろ設定が面白い!宇宙から宇宙難民が大挙して地球にやって来るのだから・・・。
そして、人種差別ならぬ宇宙人差別である。
設定は面白いが、ところどころに他のSF映画のパクリと感じられる場面も多い。DNAが変化して地球人が宇宙人に変身していくのは「ハエ男」みたいだし、宇宙人の武器は「アイアンマン」みたいなボディスーツだし・・・。
しかし、新しいタイプのSF映画であることだけは確かだ。
巨大な宇宙船が南アフリカのヨハネスブルグ上空に停止する。空中に浮かんだまま動かない。宇宙船の壁に穴を開けて中に入ってみたら、大勢の宇宙人が栄養失調で倒れている・・・。
こんな宇宙船を造れるテクノロジーを持った宇宙人が何故???。
彼等は蟻や蜂のような社会構造の宇宙人なのか?
上級な知識階級は身体が弱くて先に死んでしまい、残ったのは無知な労働階級だけ?
地球人よりもすごい武器を持っているのに、地球人と戦わずに、スラムでの荒んだ生活に甘んじているのは何故なのか?
???の多い映画だが、引き込まれてしまった。
舞台がアパルトヘイトがあった南アフリカのヨハネスブルグという場所設定が、作者の意思を感じさせる。
武器商人の金しか考えない卑しさや、保身の為にデマを流す会社重役、宇宙人差別や宇宙人体実験、地球人のいやらしさが見事に表現されている。
久し振りに映画を見てウ〜ンと考えさせられた。実に面白い映画である。