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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2010-06-05-Saturday 読売風向計

読売新聞北海道版「風向計」

2010年6月3日掲載「都会と田舎 往来ライフ」

このところ、本州から十勝に遊びに来る方が増えてきた。いずれも私が情報発信している馬肉と鹿肉を使った新グルメ「馬鹿(うまか)もん」を食べてみたいという方々である。

きっかけが何であれ、訪れてくれるのは嬉しい。先日は、ご夫婦で来られたので、私たち夫婦と一緒にゴルフをプレーした後に「馬鹿(うまか)もん」を食べに行き、翌日は午前中に中札内の美術館や農園を訪れ、昼の飛行機で帰京した。

私には、このスケジュールがとても慌ただしいように感じるのだが、本人たちは十勝に来ると、起きてから寝るまでの一日がとても長いと言う。東京の倍は長く感じるらしい。時間の流れるスピードが東京と十勝では違うのではないかとまで言う。

このご夫婦は、訪れる季節を変えて、毎年のように十勝を訪れているが、二人とも、普段は東京の経済界の第一線で活躍し、仕事で疲れたらリフレッシュのために十勝を訪問する。

このご夫婦に言わせると、「十勝の良さは、何といっても食べ物のおいしさ」にあり、「来るたびに食べ過ぎて、体重計に乗るのが怖くなる」と冗談ぽく笑う。しかし、そんなご夫婦でも、十勝に移住しようとは思わないとのこと。その理由の第一は「職」が無いからだ。

十勝は「食」には魅力があるのに「職」が無いから移住は無理だと言う。便利なインターネットなどが普及して、移動せずに仕事ができる時代になったのかと思ったが、まだ実態はそうでもないらしい。東京に居なければできない仕事の方が多いそうだ。

では、引退後なら移住するかと問うと、遊びに来るのと生活するのとは別問題だとも言う。東京でのハードな仕事があるからこそ、十勝で遊ぶことがリフレッシュになるのだろう。時間のスピードが異なる十勝でずっと暮らすことには戸惑いがあるのかもしれない。

逆に私は、たまに東京に遊びに行くことがリフレッシュになる。普段の生活と異なるから気分が一新するのだ。

日本の現状は、相変わらず若者は職を求めて都会に住み、定年になった老人も都会に住み続ける人が多い。これでは田舎はどこも過疎化と高齢化で限界集落になり、地域社会の機能を失っていく。

別荘を持てと言うわけではない。住まいを都会か田舎のどちらかに固定してしまうのではなく、老若男女が都市と田舎を交互に有効的に行き来するライフスタイルをつくれないものだろうか?

人が交流することで、感性が豊かになり、そこから新しいアイデアや仕事が生まれる可能性が高まると思うのだ。