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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2010-06-07-Monday マイヒストリー5

帯広市の大学設置構想にも問題が多かった年だ。

97年の4月初旬に文部省が、2000年以降の北海道の大学新設の基準を緩和するという方針を発表し、帯広の大学新設問題も追い風に乗ったかと思ったのだが・・・。

5月初旬に京都の瓜生山学園が芸術系の大学を北海道に設置する構想が浮上した。ほぼ同時期に帯広市役所は帯広大谷短期大学を四年制大学にするべく交渉を開始していたのだ。

帯広市には96年の11月頃に大谷学園側から四年制大学への協力要請があったらしい。

帯広市は5月9日開催予定の「十勝大学設置促進期成会」の理事会に諮り、19日の総会で決定させる方針だということを、5月2日の新聞社からのインタヴューで知ったのである。

これまで「公設民営方式」での大学新設という方向で話し合いが進んでいたのに、脈略もなく大谷短期大学との「公私協力方式」に舵を切ると言うのだ。

9日の理事会で大谷学園四年制大学のカリキュラムなどが発表され、この時、高橋幹夫市長は芸術大学構想からは正式なアプローチがないから議論の対象にはならないとこの構想を否定し、帯広市としては大谷との公私協力方式で進めたいとの意向を表明した。

公設民営方式の話し合いをしている最中で、まだ結論も出ていない段階なのに、いきなり大谷との公私協力にするというのは、会議の存在自体を無視した暴挙だ。当然ながら委員の反対多数で、先送りすることになり、19日の総会の議題にはしないことが決定されたのだった。

大谷学園の理事者の坊さんが期成会の理事会に出席して、委員に協力を呼び掛けたことがあったが、この人物というのが反感を買う最大の功労者(?)であったのだ。「大谷は別段、帯広市の協力なんてなくたってへっちゃらだ」とか「大谷短期大学はもともとニチイ(現ポスフール)の場所にあって音更町に移転したが、いつかは帯広に帰りたかった。」などと戯けた事を言うのである。帯広市から音更町に移転したのは、この時に出された条件を天秤に掛けて音更町の方が帯広市よりも良かったからなので、それをまた条件が良いから帯広市に戻りたいというのは、誰が考えても失礼な話だろうに・・・。

帯広市の拙速な会議運営と、大谷の失礼な態度などで結論が先送りされたが、帯広市は依然として大谷との公私協力をやりたい意向で、高橋幹夫市長は「7月14・22・28日に期成会の理事会を開催して、7月末までに大学問題に結論を出したい。」と記者会見で発言したのである。それに反発した若手経済人が7月19日に「十勝の大学を考える実行委員会」を発足させ、公開討論会を行うという企画を発表し、その記事が9日の新聞に掲載されたのだ。

私は、早速、翌10日に川上直平商工会議所会頭から電話で呼び出され、開催の延期とチラシに載せた主催者名から商工会議所名をはずすように迫られたのだった。私の立場では一人で討論会をやるとも止めるとも結論は出せないと帰ってきたが・・・。

翌11日に出張中だった商工会議所副会頭が、我々に相談もなく出張先から電話で公開討論会の中止を発表したが、他の若手経済人は納得しない。

結局、帯広市側との対立構造を薄めて、静かなトーンで討論会を開催することで落ち着いたのだった。

14・22日の理事会ですったもんだの末に「公設民営方式を調査・研究する幹事会」の設置が決定され、大谷との公私協力への決定は先送りされたのだった。

この幹事会の委員メンバーが8月26日に文部省を訪問し「大学新設の審査は設置形態には関係しない」との回答を得て来た。

これまで、帯広市が再三に亘って言ってきた「公私協力方式でなければ大学の新設は難しい」という発言に対して市議会でも「今まで市はどんな情報収集の仕方をしてきたのか?」という疑問が噴出し、大谷短期大学の講師を務める身内からも帯広市のやり方に疑問が出てきて、公私協力方式を白紙にする動きも出てきた。

私は、95・96・97の3年間に亘って、青年会議所のそれぞれの理事長(井上洋一・田守順・山本英明)の代理出席という立場で3年間ずっと大学設置促進期成会などの会合に出席していたが、次の98年度の伊豆倉寿信理事長は自分が会議に出席すると、私の代理出席を認めなかったので、この年を最後に、私と大学問題との縁が切れてしまうことになったのだ。

98年春に行われた帯広市長選挙で現職の高橋幹夫が、新人の砂川敏文に敗れたこともあって、結局、その後は、帯広市側が大学新設に情熱を失ったのか、大学問題はうやむやになっていく。現在に至るも、帯広の大学問題はさっぱり前に進んでいない。(つづく)