«前の日記(■2010-12-03-Friday) 最新 次の日記(■2010-12-05-Sunday)»
 | トップ |  | ビル概要 |  | テナント構成 |  | 沿革 |  | アクセス |

観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2010-12-04-Saturday 例え話 2

これもあくまでも例え話です。

とある組合が運営する飲食店の集合体が3年に一度テナントの総入れ替えをおこなっているとしましょう。

総入れ替えをするには、前に営業していた全部のテナントから文書による「退店届」が必要不可欠です。

建物の賃貸借契約は、契約書に記載されている契約期間が終了したからといって、即契約切れとはならないからです。

家主は「ハイ、契約期間が終了しましたから、出て行って下さい」とは言えない法律上はとても弱い立場なのです。法律上は借り主の権利の方を保護しています。

ですから、テナント側に退店の意志が無い場合は、家賃を払い続けていれば、家主側から強制的に契約を終了させることは出来ません。

また、口頭での退店届は、後に「言った、言わない」というトラブルの元ですから、文書に依って「○年○月○日をもって、△△を退店します。□山×男(印)」という明確な意志表示が必要なのです。

この退店届が提出される前に、新たなテナントの募集をしてしまうと、ダブルブッキング(二重契約)の恐れが生じることになるでしょう。

前のテナントがまだ営業をしているのに、新しいテナントと契約してしまうということになるからです。当然、古いテナントにも、新しいテナントにも両方に迷惑を掛けることになってしまいます。

総入れ替えというからには、3年毎に全く新たな体制で臨むということでしょうから、家主側からすると、前に営業していたテナントの場所を変わってもらうという事態が生じるでしょう。テナントミックス(業種による配置)を考えれば当然のことです。

「全テナントを新たに選んだ」というからには、前テナントが前に営業していた場所の権利は完全に消滅していなければなりません。

しかし、前テナントから文書による「退店届」の提出を受けていないとすると、前契約が生きていることになりますから、テナントの場所の移動は非常に難しくなってしまうでしょう。

場所を移動してもらうには、その根拠が必要ですが、「退店届」を提出していないのだから前の契約のままだと言うことに対する反論は難しいことになるでしょう。

また当然、移動はタダでは出来ない訳で、幾ばくかの移動費用が掛りますから、そんな状態では積極的に移動するという人は少なくなることが予想されます。

そうなると、古いテナントが抜けた場所に、新しいテナントを入れるしかなくなってしまいます。それでは、総入れ替えと言うには程遠いことになります。

組合のまちづくりの理念ともかけ離れた結果にしかならないでしょう。

でも、これは例え話ですから現実にはこんな心配は無用のことでしょうね。