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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2010-12-06-Monday 不動産業

不動産賃貸業に携わる者として憂えていることがある。

どうも最近は俄(にわ)か家主さんが、法律を適当に解釈して、借主の店子に対して不当な要求をしているケースが見受けられる。

例えば、退居する際の「原状回復費」の扱いである。

原状回復費とは、借主側が借りる前の状態に復して家主に返還する時に掛る工事費用のことであるが、法律では、畳や壁紙など、経年の通常使用で汚れた場合は、家主の負担で直すべきものという解釈が一般的である。

借主は畳や壁紙などを新品に張り替えて家主に返還する必要はないということである。つまり、通常の状態で使用(著しく特殊な使用法でなければ)していれば、汚れるのは当たり前なのだから、その分の費用はあらかじめ家賃に含まれているという解釈である。

畳や壁紙ですらこうなのだから、建物本体の傷みは、当然、家主が負担して改修しなければならない。貸す家は家主にとっては、言わば商品なのだから、その商品を常に良好な状態にしておくことが家主の責務であるからだ。

ただし、あらかじめ契約する際に、貸主、借主双方が納得の上で、例えば「建物がボロいからその分家賃を安くしておくから我慢してね」などの了承があれば別であるが。

トンデモナイ家主の中には、契約書に書かれていないことを請求する輩がいるという。

例えば、契約を済ませた直後に、建物が古いので修繕する必要があるから家賃と別に修繕費を負担して欲しいなどと言い出すことだ。直後というところがミソだ。そういう不備な事があらかじめ分かっているなら、契約する前にしっかりと借主に告知するべきだし、そもそも、この請求は前述した通り、家主の負担が基本であるから、家賃で賄うべきものである。借主に負担させるものではない。

契約をしてしまって、借主がもはや、どこにも行けないことを見越して、その直後に不当な要求をするのは犯罪行為に近い。

借主側は法律に疎(うと)い方が多い。その無知を利用して、自らの利益を確保することは倫理上あってはならない行為だ。家主として恥ずべき行為なのである。

ましてや、それが、公的な補助金を受けて行われた事業なら尚更のことである。事業の私物化は許されない。