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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2011-02-03-Thursday 新聞記事

2日の十勝毎日新聞の1面トップ記事に

「北の屋台で開業支援」と大きく出ていたので驚いた。

帯広の経済界が出資するまちづくり会社「まちづくり元気おびひろ」(藤本長章社長)は3月から、北の屋台の1ブースを借り上げて、新たに募集する「社員」に屋台をやらせることで、中心市街地での飲食店開業を支援する事業を展開するのだという。

何のことはない、第二期の北の屋台でやっていた「起業塾」を「まちづくり元気おびひろ」がソックリそのままやるということだ。

北の屋台の第4期目は、記事によると3月14日にオープンするそうだが、最後の1店舗がどうしても埋まらなかったのだろう。だから昨日まで発表(まだ他の19店舗の発表はまだだが)できなかったのではないだろうか?

それにしても、北の屋台は実に上手いことやった。

「起業塾」をやるには組合側に多額の資金とノウハウが必要なのだ。起業塾生からは保証金の100万円が入ってこないし、もちろん家賃・共益費・広告宣伝費も入ってこない。屋台制作費や厨房制作費などの費用150万円を塾生に貸さなければならないし、光熱費・食材費も払わなければならないし、給料も払わなければならない。

本来入って来るお金が、入って来ないで、しかも出て行くのだから倍の負担になるのである。

つまり、起業塾をやるには当初に3〜400万円くらいの資金的余裕が必要なのだ。

今回、組合が起業塾をやらなかったのは、その資金的な余裕と運営ノウハウが無かったのだろう。

金銭的なリスクは全て「まちづくり元気おびひろ」が負うことになる。

北の屋台の組合にすれば、保証金・家賃・共益費・広告宣伝費は通常の屋台と同様に貰えるのだから、「起業塾」とは違ってノーリスクな訳である。つまり何のことはない北の屋台の1ブースを「まちづくり元気おびひろ」に貸しただけのことだ。

逆に「まちづくり元気おびひろ」は全てのリスクを負って事業展開をすることになる。

屋台の家賃など毎月約15万円(推定)ほどを組合に普通に払って、社員には給料も15万円(推定)ほども払い、金融機関から借りるお金300万円の元本金利を毎月25万円も払うとしたら、毎月黙っていても55〜60万円が消えていく計算だ。粗利益が50%あったとしても、月120万円の売上額が必要になる。こんなに高い利益率ではないだろうから・・・。

他人を雇って営業する屋台は、当然、自分で営業する屋台よりも売上額が多くなければとうてい黒字にはならない。新聞記事に書いてあった「1年間の売上目標1200万円」では黒字は厳しいかもしれない。と普通なら考えるところだが・・・。

ところが妙手があって、国や市などの制度融資から300万円を借りたら、元本の返済には1年間の猶予期間があるから、最初は金利の支払いだけで済むのだ。だから、売上げが月100万円で粗利益35%でも何とかなるかもしれない。

ただし、この場合もあくまでも1年後に「社員」が独立して「屋台店主」になり、この新しい店主が金融機関から300万円を借りられて、まちづくり会社に300万円を払ってくれたらの話であるが・・・。

屋台の評価は「一に大将、二にメニュー(味)、三、四が無くて五に値段」である。つまり、店主のキャラクターが売上を大きく左右するのだ。

雇う社員が優秀なら、売上げもあがって儲かるだろうが・・・。

「屋台に出店する社員」を明日から募集して16日に締め切るらしいが、こんなに急に発表して、しかも募集期間がたったの13日間しかなくて、果たして優秀な人材が集まるのだろうか?とても心配である。

自分の将来を真剣に考えるのには、こんな短期間で決定できるとは思えないのだが・・・。

北の屋台の「起業塾」の時には「インセンティヴ」として「経常利益の60%(家賃・給料等を引いた後の純益)」を塾生に差し上げていた。早く開業資金を貯めなさいということと、やる気を喚起させて売り上げを伸ばしてもらう目的であった。今回のこの事業ではその点がどうなるのかは記事には書かれていなかったが・・・。

いきあたりばったりで「まちづくり元気おびひろ」に泣き付いたのだろうが、よく「まちづくり元気おびひろ」が引き受けてくれたものだ。

「まちづくり元気おびひろ」には、1年後に独立出来るような素晴らしい人材を何とか発掘して、帯広の街を活性化させてもらいたいと願う。