「検証!まちづくりと北の屋台」
北の屋台が2001年7月29日にオープンしてから、今年で10周年を迎えるが、ここで「まちづくり」における北の屋台の意義を検証してみたい。
日本全国に「まちづくり事業」と名の付くものは数知れず存在するが、その中にはいわゆる「箱モノ」といわれるハード面(建物など)に何億円もの巨額の資金を掛けたものがあり、費用対効果から考えると疑問符が付く事業もかなりの数に上がる。北の屋台はハードよりもソフト(企画など)に重きを置いた珍しい事業である。
商売の原点である屋台で素人が経験を積み、資金を稼いで固定客を獲得したら、屋台を卒業して、街中の閉店した店のシャッターを開ける。空いた屋台にはまたやる気のある若者が入居する。それを繰り返すことでまちづくりに貢献するのが目的であった。
北の屋台(建設)に掛った事業費の総額(屋台店主の支払い分を含む)は約7500万円、そのうちの約40%が補助金で賄われた。敷地が約528平方㍍(約160坪)であるから坪当たりに換算すると47万円弱の投資ということになる。
一番お金を掛けた施設がトイレの900万円だから、まちづくり事業の費用としてはかなり少額であった。その北の屋台第2期の最盛期には年間18万人以上の客を集め、3億2千万円以上の売上げがあったのであるから、いかに投資効率の高い事業であったかが分かろう。
全国各地の「まちづくり団体」が最も苦労している点は、活動資金の捻出だ。大きな事業には初年度こそ補助金は付くものの、せいぜい3年で打ち切られる。補助金がなくなったら活動を停止するのではまちづくりとは言えないから、メンバーが自腹を切って活動を継続しているケースがまま見られる。
北の屋台は、40%の補助金以外に掛った費用を金融機関から借りたが、私が卒業するまでの(当初の土地の賃貸借契約期間)6年半で既に全額の返済を終えた。だから、2007年から延長した契約期間10年間のなかで、かなり潤沢なまちづくり用の資金を作り出すことが可能な体制になったわけである。
このように自前で活動資金を生み出せる事業というのは全国のまちづくり事業においては稀有の存在だ。
今年3月中旬から始まる第4期には、まちづくり会社「まちづくり元気おびひろ」との共同の事業もおこなわれるようだ。
北の屋台には、家賃から得られる安定的で潤沢な資金を、今後の公的なまちづくり活動に有効に活用してもらいたいと願っている。