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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2011-08-12-Friday 読売風向計

2011年08月11日読売新聞北海道版「風向計」掲載

「移動する家」の可能性

帯広市中心街にある屋台村「北の屋台」が、7月29日で開業満10周年を迎えた。私は2007年3月末で「北の屋台」の事業から卒業したが、法律の規制や先入観といった数々の壁を打ち破り、日本で唯一の「完全遵法の屋台村」を作り出したことは今なお、誇りだ。

「北の屋台」に携わったおかげで国土交通省などからは「観光カリスマ百選」の一人に選ばれ、現在、全国各地で展開中の「屋台を生かしたまちづくり」で助言を求められることも多い。

最近では6月初旬、「トレーラーハウスを使って東日本大震災の復興の手伝いが出来ないだろうか」という相談を受けた。トレーラーハウスを一言で表現すると「車で引っ張って移動する家」となろうか?

私は当初、ハリウッドの映画スターがロケ撮影の際に寝泊まりする大きめのキャンピングカーといったイメージを描いていた。しかし、資料を見ながら説明を聞いているうち、認識はかなり変わった。立派な住宅であり、店舗でさえあると思えたのだ。

被災地では自治体が「仮設住宅」を建設しているが、貸与期間は2年間という。その後、解体してしまうわけで非常にモッタイナイ。トレーラーハウスなら別な場所に移動させることが可能で、別用途にも使えるために解体の必要もない。

ジャッキで土台の高さを調節できるから、むしろ仮設住宅よりも地震に強いのではないだろうか。価格は300〜500万円ほど。解体せずに2次使用できることを考えれば、むしろ割安かもしれない。トレーラーハウスの普及は日本人の家に対する認識を一変させる可能性すらある。

私が注目したトレーラーハウスは住宅型よりも店舗型。10台も並べたら立派な商店街になる。その場所で使命を終えたら、別の場所に移動させれば良いわけで、初期投資額やリスクは小さい。私が考案した屋台村の形態を、大きくさらに立派にしたような形になるのだ。

トレーラーハウスはプレハブの味気ない四角い箱とは違って、屋根のある普通の建物というイメージを醸し出している。そこで、提案だ。北海道の自治体は、トレーラーハウスを常時、数台ずつ所持してはどうだろうか?

住宅型は中期滞在型観光の拠点として、または視察研究時の宿泊場所に使える。店舗型は駐車場や空地などに展開して仮設商店街を催してみると面白い。そして、災害が発生した時にはそれらを集め、仮設住宅や仮事務所、臨時の商店に活用する。検討の価値は十分にあると思うのだが。