上智大学の前学長の石澤良昭先生からだ。
本と言うよりは資料と言った方が適切かもしれないが「アンコール・ワット西参道修復工事第一フェーズ」という題名で、日本語と英語で書かれている477ページの厚いものである。
石澤先生とは帯広市の出身ということで知己を得た。
以前にこのブログでも詳しく書いたが、1995年から私が帯広市の大学設置委員会の委員になった際に、石澤先生が副委員長を務められたのが縁になった。
その後、十勝環境ラボラトリーの講師としてお招きしてから親しくさせていただき、これまでに3回もカンボジアにご招待を頂いている。
石澤先生には同郷の者としてとても誇りに感じている。
日本は海外に対する支援を数々行っているが、上智大学の事業は、その中でもトップクラスの実績を上げている事業だと思う。
その実績の一番は、この事業がお金に任せた事業ではなく「カンボジア人による、カンボジアの為の遺跡保存修復」という理念が素晴らしいのだ。
カンボジア人に石工の技術などを教え、自らの力で修復できる様にしているのだ。その技術を学んだカンボジア人達が、今度は指導者となって、また新たなカンボジア人達に技術を伝えるようになってきたと手紙に書いてあった。
1996年8月から始まったアンコール・ワットの西参道の修復工事は2007年11月に完成したが、その式典にもご招待を受け、夫婦で参加してきた、今回の本はこの修復事業の歴史を解説している。
また、遺跡発掘技術の指導も行っているが、その研修中に偶然、廃仏を274体も発見するという奇蹟が起った。これまでの学説を覆すような重大な発見であった。これは素晴らしい活動をされている石澤先生に仏様がご褒美を差し上げたのではあるまいか。
石澤先生は今年の3月で学長を退かれたが、今後は学長としての仕事が減った分、カンボジアに力を傾注できる事だろうと思う。
今後も素晴らしい活動を続けられるよう微力ながら応援していきたい。