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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2011-09-16-Friday 読売風向計(最終回)

2011年9月15日読売新聞北海道版「風向計」掲載

「若者よ、海外へ行こう」

東日本大震災のあった3月11日以降、フィンランドとカナダを訪れ、考えさせられることがあった。

フィンランドの消費税率は22%程度、カナダでは13%程度。物価も高く、旅行者にとっては決して過ごしやすくはない。でも、両国民とも外食に出かけたり、観劇などを楽しんだりと、人生を豊かに送っているように映った。

医療や年金などの社会保障制度が充実し、未来に対する不安が少ないからなのだろう。過剰な貯蓄をすることなく、社会の中をお金が円滑に循環しているように感じた。

9・11米同時テロが起きた2001年や、新型肺炎(SARS)の流行で海外旅行客が激減した03年のように、今年は大震災の発生で海外渡航者の減少が見込まれる。また、福島第一原子力発電所の事故による放射能の影響を危惧して、来日する外国人観光客数も低水準で推移することが避けられそうにない。

1980年代は欧米の主な観光地で東洋人の団体を見かけたらほとんどが日本人だった。今は中国人や韓国人を目にする機会が増えている。日本人は観光スタイルの軸足を個人旅行へと移していることもあってか、海外で目にする機会が減り、一抹の寂しさを覚える。

とはいえ、1ドル=70円台という史上空前の円高傾向が続いている今は、海外旅行に出掛ける絶好のチャンスでもある。

私達の親の世代は「年齢を重ね、お金と暇ができてから海外旅行に出かける」ことが夢だった。しかし、「年齢を重ねて」から海外旅行に出かけるのでは色々な意味でモッタイナイ。海外旅行は体力があり、時間の自由がきく若い時に行くべきだ。若い時分であれば気軽に行けたであろう場所も、年を取って体力が衰えると躊躇する場合が出てくるし、海外旅行で得た経験をいかす機会だって少なくなる。

近年、若者、とりわけ若い男性が海外旅行に対する意欲を減退させているという。本当であれば実に残念なことだ。家の中でテレビゲームに興じるのでなく、海外に出かけて日本の長所、短所を認識してもらいたいと思う。

インターネットの普及によって情報が気軽に手に入る時代になり、画像を見ただけで海外に行ったかのように錯覚し、満足しているのかもしれない。でも、百聞は一見に如かず。タクシーの自動ドア、シャワートイレなど日本の過剰なまでのサービスが世界標準ではないことだってよく分かるだろう。

未来を担う若者へのはなむけの言葉で2年半にわたったコラムの筆を置きたい。