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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2011-10-03-Monday 大津・十勝川学会

大津・十勝川学会主催の講演会が

2日14時からとかちプラザの視聴覚室で開催されたので参加してきた。

今回は「維新政府と植民地十勝(アイヌ民族と和人の自治運動)」というテーマで、北海道大学名誉教授井上勝生さんの講演である。

十勝はこれまで、北海道の歴史の中では、あまり重要視されておらず、調査も研究も進んでいなかったが、ここへきて、これまで調べられていなかった資料の中から、結構面白いものが出てきているとのこと。

今回も幕別のふるさと館にあるアイヌのエカシ(酋長)であった吉田菊太郎が保存していた資料の中から、面白い文献が出てきたとのことであった。

アイヌの文献は、ほとんどが散逸してしまっているらしいが、この吉田菊太郎さんは、丁寧に資料を保存してあるので、これからの研究材料としては一級品なのだそうだ。

今回の講演は「十勝アイヌが1877(明治10)年に十勝豊頃の大津でおこなっていた共同漁業組合のお金(現在の価値に直すと数億円に相当する)が、時の北海道の役人によって不当に消えてしまったことの真相を探るものである。

当時のアイヌの莫大なお金を、北海道製麻会社や札幌製糖会社(この製糖会社の建物が現在の札幌ビールのレンガの建物なったということだ)の株式として購入し、その会社はすぐに倒産して、お金が消えた事件だと言う。

当時の国会でも追求されたことがあるとのことだが、日清戦などもあってか、うやむやになってしまったし、これまでの文献では、その追求運動が、アイヌ民族の自発的な行為ではなくて、その財産に対して野心を持っていた和人の扇動によって起きた追求であるかのように歴史の本ではなっているのだとのこと。

ところが今回出てきた資料では、十勝ではアイヌが代議制に近い自治をおこなっていたことや、惣代として交渉にあたった大津蔵之助という和人の人物も立派な人間であったことが分かるという。

いわば歴史のミステリーを解き明かすような楽しさがあった。

今後、資料を見直していくと、和人に都合の良いように書いた歴史の誤まりが出てくることだろう。

しっかりとした研究を続けてもらいたいものだ。