高速道路の道東道の、これまで繋がっていなかった夕張ー占冠区間がこの10月29日に開通して、ようやく十勝と道央が高速道路で繋がることになる。
これを受けて、このところ盛んにシンポジュームや大会などが開催されているが、十勝の側の受け止め方に疑問がある。
その論調は概ね「道東道の開通で札幌方面と繋がることで巨大なマーケットとの距離が近くなり観光などの産業が活性化され恩恵を受けることに期待している。」というものである。
言っている人には、その社会的な立場というものがあるから、せっかく繋がった高速道路に否定的な発言は出来ないのであろうが・・・。
でも、本当にそう思っているのだろうか?
九州に於ける福岡市、東北に於ける仙台市など、交通が便利になったことで一極集中に拍車が掛かった例は数多く見たことがあるが、その逆に人口の少ない地域が、多い地域よりも状況が良くなったという例はまだ寡聞にして聞いたことがない。
近年、物販店は、かつては勢いがあった郊外型ショッピングセンターやカテゴリーキラーの集合体のスーパーセンターもテレビショッピングやインターネットなどの無店舗販売に押され気味である。
中心部の商店街はどこもシャッター通りと化し、デパートも苦戦している。そこに品揃えで圧倒的な優位に立つ、札幌の店舗群に立ち向かえるのだろうか?
列車なら札幌ー帯広の往復で一人13000円程も掛かるが、自動車に5人で相乗りして行けば高速料金、ガソリン代を入れてもかなりな割安になる。ネックだった時間距離も大幅に短くなるとするなら、自動車を運転できる者の多くのショッピングは札幌に流れてしまうだろうことは明白だ。
希望が持てる業種として観光業をあげているが、道央の人間が、道東方面に魅力を感じて遊びに来るだろうか?
最近、ガーデン街道やシーニックバイウェイなどの新しい試みをやって頑張ってはいるが、まだまだ浸透はしていないようだ。
かなり前からの準備と宣伝をしていなければならないのだろうが、どうもその効果のほどはあまりよく見えていないように感じる。
思い付きではなくて、戦略と戦術をしっかりとした事業をやらねばならないだろう。各種の企業が足並みを揃えるにはかなり強力なリーダーシップが必要だろう。
高速道路が繋がったから人が大勢来るなんてことはありえないし、もし、あったとしても、準備もできていない店舗に誰が入ってみようと思うのだろうか?
ノー天気に、エライ人達の立場が言わせている話を、そのまま鵜呑みにして幻想を抱いてはいけない。
十勝の人たちは、言霊(ことだま)に支配されている。
最悪のケースも想定して対処する必要がある。このままでは十勝が良くなる可能性はゼロではないが、限りなくゼロに近いと私は考えている。
あらゆる方向から検討しなければ手遅れになってしまう。