ネットで購入して鑑賞した。
公開時に見たいと思っていたのだが、残念ながら帯広の映画館では上映されなかったのだ。
フランスの喜劇王ジャック・タチが娘のために残した脚本を、「ベルヴィル・ランデブー」のシルバン・ショメ監督がアニメ映画化したもので、舞台は1950年代後半のパリとイギリス。初老の手品師タチシェフは、場末のバーで時代遅れの手品を披露しながら細々と暮らしていた。田舎を手品をしながら回っているある日、スコットランドの離島にたどり着き、そこで貧しい少女アリスと出会う。タチシェフを魔法使いだと信じこみ慕うアリスと、生き別れた娘の面影を重ねるタチシェフ。2人はエジンバラで一緒に暮らし始めるが・・・。
テレビが台頭してきて、生の芸が段々と売れなくなってきた芸人たちの悲哀が良く現れている作品だ。
タチシェフは何故に娘と生き分かれてしまったのか?
売れない芸人の元を奥さんが子供を連れて出て行ってしまったのだろうか?
エジンバラの小さな安ホテルに暮らす芸人たちも、ピエロは部屋で首を吊ろうとするし、腹話術師は商売道具の人形を質に入れて飲んだくれてしまうし、デパートの店頭のショーウィンドウの中で、商品をPRするマジックを演じさせられるが、一日で辞めてしまったのは芸人としてのプライドだったのだろうか?
セリフが極端に少ない作品だから、ストーリーも色々に解釈できるが・・・、なんとも、物悲しいアニメ作品であった。
つい先日、私のマジックの師匠であった故ジミー忍(聖忍)の奥さんのマコママから一枚のDVDが送られてきた。2007年7月14日に新宿の住友三角ビルで開催された「魔法の小箱15周年&忍さんを偲ぶ会(13回忌)」の模様を写したDVDである。
私も出席していたのだが、最近は記憶力が激しく減退しているので、どんな会だったかもスッカリ忘れていた。
すぐにマコママに「何故、今頃なの?」と聞いたら、なかなか焼き増しなどで手間取っていて発送できなかったというのである。
4年も送られて来なかったからビデオを撮っていたことも知らなかったほどだった。
会ではプロマジシャンとして、バーディコヤマさんとジョニー広瀬さんが出席され、2人ともジミーさんとの長〜いエピソードの挨拶をされていたが・・・、二人ともプロマジシャンではなかなか喰えないという話をされていたことが今回のアニメと重なってみえたのだ。
今の世の中、本物の芸がある芸人が売れずに、テレビでは若手の芸NO人ばかりがバカ騒ぎをしている場面しか出てこない。
嘆かわしい限りである。