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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2012-01-31-Tuesday 坂本商事

私はビル賃貸管理業の

坂本ビル㈱と、北海道民芸品や十勝石細工製品を扱う坂本商事㈱の2社の社長を務めている。

この坂本商事㈱は創業が1905(明治38)年で、現存する北海道のお土産品店ではおそらく一番の老舗であろう。

この商事は、近年の土産品不況などもあって、坂本ビルの1階に9坪ばかりの小さな店舗を構えてはいるが、常駐の社員はおいておらず、開店休業状態なのである。

土産品不況にはいくつかの要因があるが、①旅行が人生の一大事からごく普通の事になってしまい餞別という風習が消えた。かつては新婚旅行などで北海道に来たら、餞別を貰った人にはお土産を買って帰ったものだったが・・・。②住宅事情が変化して床の間がなくなったり、家が狭くなって嵩張る熊の木彫りなどはおいて置く場所がなくなった。③おまけにテレビが薄型になってテレビの上にも置けなくなった。④嵩張る土産品は貰った方も困るので嵩張らずにお腹に入って消えてしまうお菓子が土産の主流になった。などの理由がある。

この傾向は我が社だけではなく、北海道中の土産品店に云えることである。

昨日、我が社に「熊の木彫りを海外の土産に持って行きたいが、スーツケースに収まる小さめの熊の木彫りというのはあるか?」」という電話が入った。「当社に今は在庫はないが問屋に確認してみてあったら2日で到着するが・・・」と言ったら「FAXで大体の形を見てみたい。気に入ったら注文する」と言う。

昔のカタログを引っ張り出してきて、コピーしてFAXしたら、「鮭を喰えた熊の木彫りが欲しい」と言うので、問屋に在庫を確認してみたところ、札幌にある北海道で一番大きな問屋でも在庫が無いと言う。

旭川の自社で製作もしている問屋にも確認したが、もう自社では熊は作っていないし、在庫もひとつも無いと言うのである。

お客さんにはその旨伝えて「お役に立てなくて申し訳ない」と謝ったが・・・。

かつては、我が社でも熊彫りの職人を抱えて製造し、熊の木彫りを1日に十数個も売ったことがあるほど売れていたものが、現在は1年に1個売れるか売れないかである。

我が社だけでも、日本の世帯数の何分の一かにあたる大量の熊を売ってきたのだが・・・。

大勢いた木彫りの職人も高齢になって廃業したり、鬼籍に入ってしまった方も多い。

一時期、台湾辺りで作らせようかと考えたことがあったが、法律で製造場所を明記しなけらばならないから、メイドインチャイナの熊を帯広で売る訳にはいかないから断念したことがあるのだ。

もはや、阿寒湖あたりで、個人で彫っている人ぐらいからしか熊の木彫りが手に入らなくなったようだ。隔世の感がする。