地元の新聞社、十勝毎日新聞が主宰している「かちまいアカデミー」という趣味の会で、私が講師を務めるマジック教室があった。
会場は我が社の会議室で、この会議室は「マジック図書館」を兼ねている場所である。
今回の講座は1月〜3月の3ヶ月間で月2回ずつ計9回の講座で「クロースアップマジック教室」と銘打ってある。教えているのは「カップ&ボール」という世界最古の奇術のひとつと言われているもので、3個のコップと3個のボールを使用した単純だが歴史が長い(4000年以上とも言われている)分だけ手順も、ものすごい数が考案されている奇術だ。
私が大好きなクロースアップのマジシャンは、第一にトニー・スライディーニで学生時代は師のジミー忍宅で毎日の様に、スライディーニの紙玉のマジックをソニーのU−MATICという現在のVHSの1.5倍はあろうかという大きさのビデオ(当時、ビデオはまだ普及していなかったから非常に貴重であった)を見ながら研究して、このマジックをモノにしたものである。
二番目がダイ・ヴァーノンで、三番目がアルバート・ゴッシュマンである。おそらく、私と同年代かそれ以上のアマチュアマジシャンなら、この3人に憧れた経験があるのではなかろうか?
私が今回、指導しているのは日本では最もポピュラーな手順である「ダイ・ヴァーノン氏の手順」だ。
この手順が日本で流行ったのには、力書房が昭和47(1972)年1月25日に出版した「ホーカス ポーカス シリーズ Ⅵ ダイ・ヴァーノン カップと玉(R・ギャンソン著・高木重朗訳)」が影響していると思う。私も学生時代に好んで演じた手順で、思い出しながら楽しく教えている。
サービスのつもりで、ルーティン以外の事を教えると、逆に生徒の人達は混乱してしまうから、余計なことは一切教えないことにした。
サービスが仇となってしまうことがあるのである。
昨夜の教室に集まった6人の生徒さんに、教室が終了して帰りがけに、「この教室に前回の時とは2ヶ所の変化がありますが判りますか?」と質問したのだが、誰一人として本棚が増えた事とドアが逆付けになったことが判らなかったのである。人間の注意力なんてこんな程度のものなのかもしれないなぁ〜。