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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2012-11-17-Saturday 掘り出し物

日本の古本屋という

インターネットの古書店を検索していて面白い本にいき当たった。書名は「婦人記者 化け込み お目み江まわり(須原啓興社)中平文子著 大正5(1930)年5月1日発行)」と云う209頁の本である。著者が奉公人になって(化けて)いろいろな家に奉公に入り込み、その家の状況をつぶさにレポートするという内容である。

その中の3番目に「女奇術師天勝の家へ」という項(P17-38)があったのを見つけたのだ。

松旭斎天勝は一世を風靡した女性マジシャンで伝記物もかなり出ているし、インタヴュー記事などもかなりあるが、女性記者が女中に化けて自宅に潜入し、私生活を暴露するなんて、現代の週刊誌でもやらないような企画であるから面白そうだと思い購入したのである。

こんな本が出ていることを知らなかった。この本の内容は、有楽座で明日から「サロメ」の興行が始まると云う前夜の出来事が書かれている。

この本の一節に『ぢや貴女は養女にも入られる身體ね、實は私の方の職業は御存知の通り俳優なぞと違つて皆種があつてする事なんですから、三味線や踊は要らない代りに秘密を守つて貰う事が何より大切なのだから、弟子にも四年五年と年を限つて、確固した保證人を立てるか、でなきア養女になつて貰うかした上で無いと取らないやうにして居るんです。其代りにはお弟子にした以上は着物からお小遣から食費から全部妾の方で負擔て、行末お嫁に行くとなれば一通りの支度位は揃えて遣ります。だから矢鱈に弟子は取らないんですけど・・・』とあって、当時の手品師の徒弟制度の中身が垣間見えるところが興味深い。

以前は実際に古本屋に足を運んで、背表紙を眺めながら、これは面白そうだという本を探すのが楽しく楽しくてしょうがなかったのだが、最近は、ネットでいろいろな角度から検索をかけていって、こういうマニアックな本を探し出すのがこれまた楽しいのだ。

こういう本を見つけた時の喜びは大きいのである。また面白いコレクションが増えた。