月刊誌の文藝春秋2013年12月号に発表した短編小説「ドライブ・マイ・カー」に不適切な表現があるとして、北海道の中頓別町の町議6人が出版元に質問状を提出するというニュースが流れた。
問題になっている箇所というのは、中頓別町出身の東京で仕事をしている24歳の女性ドライバーが、火のついたタバコを車の窓からポイ捨てする場面で、それを見た主人公の感想を「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」と描写した部分であるらしい。
町議らは「中頓別町は防火意識は高く、タバコの投げ捨てを普通にやることはあり得ない。小説に表現の自由はあるとしても、この過ちを見過ごすことはできない」などとして出版社に対応を求めているという。
この場合、中頓別町の町議の思惑は2通り考えられるだろう。
①本当にこの表現に憤ったケース。もうひとつは
②クレームを付けることで中頓別町を有名にしようというケースである。
もしも、②ならば、あざとい手法だが、不幸中の幸いとでもいうか、中頓別町という名前を全国区にするいいチャンスだと思えなくもない。
もしも、①だったならばこの町議連中はバカ丸出しである。憲法に保障された表現の自由に制約を加えようというつもりなら、政治家にあるまじきトンでもない連中である。
いったい、この小説のこの表現を気に留める人が何人いるだろうか?
重箱の隅をほじくるようで不快である。
こんなものは笑ってやり過ごすのが大人の対応ってもんだろう。
どうも最近は、テレビの「明日ママがいない」へのクレームによってスポンサーが降りるだとか、ANAの着け鼻に金髪カツラのCMが外人差別だとかで放映中止になったりしているが、いったいどこの誰が、こんなものにクレームを付けているんだ!よっぽどの暇人なのだろう。
クレームを付ける方も付ける方だが、それに反応してスポンサーを降りたり、CMの放送を止めたりする企業側もおかしいぞ。
過剰反応だろう。
こんなことで表現の自由に対する自主規制が起きたら、文化は衰退してしまう。どうせ、こんなクレームを付けるような奴は、脳足りんの暇人で、しかも極々少数にしか過ぎないのだろうから、過剰反応は止めにすることだ。
世の中、不寛容な器の小さい連中ばかりが増えたようにも感じる。どこかオカシイぞ!