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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2014-04-04-Friday 男?女?

数種の新聞の書評欄に

中原清一郎著の「かのん」が面白いと載っていたので読んでみた。

例によって詳しい内容はまだ読んでいない人の為に書かないが、脳移植の物語である。

脳移植といえば学生時代に読んだロバート・A・ハイライン著の「悪徳なんて怖くない」が思い出される。余命いくばくもない大富豪の男性老人が若い女性の身体に脳移植をするSF小説である。

井上ひさしの「吉里吉里人」の中にも男性の老人の脳を若い女性に移植する話が出て来た。

男性に生まれたのに、若い女性になると云うのはある種、作家に取っての格好の材料なのであろう。

脳移植に限らず、男性の意識が女性の身体に転移する話も多くの作家がテーマにしていて例えば浅田次郎が「椿山課長の七日間」という小説でも書いていたし、遠藤周作は「大変だァ」と「あべこべ人間」でセックスチェンジ物を2冊も書いていた。

人間には変身願望というものがあるから異なる性になってみるというのは究極の変身なのかもしれない。

女性同士の脳移植は、あまり美しいとはいえない女性警察官が、超美人の身体に脳移植されるという話は大沢在昌の「天使の牙」で描いていた。

脳移植というのはまだ現実には出来ていないからこその夢物語りなのだろうが、「心」は脳に存在するはずだという科学と、魂は果たしてこの世に存在するのかという問題があって面白い。

確か「悪徳なんて怖くない」でも脳を移植された身体の中には、以前の身体の持ち主の意識が残っていて、時々意識が出てきたように記憶していたが・・・。

そんなことを思いながら読んだら、2日の北海道新聞夕刊に『性別変更後「母親」に』との見出し、大阪家裁で性同一性障害で男性から女性に性別変更手術をし、男性と結婚した人が、児童養護施設から引き取った男児(3)との特別養子縁組を申し立て大阪家裁がそれを認めたという記事を読んだ。

これまでは男性から女性に性別変更した人が「母親」になる為には子のいる男性と結婚するか養子縁組をするしかなかった。日本では女性に性別変更した人が特別養子縁組(養子縁組とは異なり実の親との親子関係が消滅して養親の実子となる)で法的に母親と認められたのは初めてだという。

昨年12月に最高裁で女性から男性に性別変更した人が、妻(普通の女性)が第三者との人工授精で出産した子どもとの嫡出関係を認める決定を出したが・・・。

これでますます男性とは何か、女性とは何か、父親とは何か、母親とは何か、子どもとは何かが混とんとしてきた。

こうなると谷甲州の小説「エリコ」みたいに、男性が女性に性別変更手術をする際に女性の子宮を移植して、元男性が子どもを出産して本当の母親になるなんてことが現実になる日が近いのかもしれない。