例によって「夫婦50歳割引き制度」で鑑賞したのであるが、4月1日からの消費税増税の影響で一人1100円に値段が上がっていた。
それでも2人で2200円は安い娯楽である。
原作は湊かなえである。この人の小説は実に心理描写がすごい。人間の心の闇を描かせたら当代一の作家ではなかろうかと思う。
出演者は、最近映画では売れっ子になっている井上真央である。ごく最近観た映画でも「永遠のゼロ」や「謝罪の王様」にも出演していた。
これまた例によって、まだ観ていない人の為に内容の詳しい解説はしないが、この映画のテーマは「噂」と「嫉妬」ではないだろうか。
最近流行りの「ツイッター」が画面上にも文字で出てくるが・・・、私のハンディフォンはいわゆるガラケーと云うやつだから、ツイッターだのLINEだのと云うものはやったことがない。電話のメールさえようやく出来るようになったばかりなのである。
私の信条は「便利さが殺すコミュニケーション・不便さが生み出すコミュニケーション」であるから、携帯電話なんて道具の便利さは「適度な便利さ」に留めておかなければ、逆に機械に振り回されてしまうと考えているのである。
かの天才チャップリンが78年も前に既に「モダンタイムス(1936年)」で機械化される世の中を皮肉っていたが、現代人はまさにスマホに支配されているかのようだ。
便利さには後戻りできない「不可逆性」があるから、あまり一気に便利にし過ぎてはいけないのである。
映画の中で、綾野剛が演じた冴えない男赤星が仕事中にもひっきりなしにツイッターで呟いている場面が出てくるが、今のツイッターをやっている人達っていったい何の為に呟いているんだろう。
こんなにしょっちゅうツイ〜トばかりしていたら仕事に集中出来る訳がない。
無責任な「噂」話がツイッターで全国に一気に拡がっていく様は実に恐ろしいことである。一人一人が何気なく無責任なことをつぶやいても、それが集合すると恐ろしいほどの威力を持って攻撃することになる。
覚悟というものがない人間が無責任なことを無自覚ですることほど怖いものはない。
「嫉妬」というのも、他人が一体どんなところにコンプレックスを持っているのかは分からないし、常に自分がナンバーワンでいなければ気が済まないという感情や常に100%を求める「高望み」が「嫉妬」に似た感情につながるというのもなかなか面白い考え方である。
人間の心理描写が面白い映画であるし、現代の問題点も描き出している点が良い映画であった。