オピニオンのページの「まちの声」欄に大樹町の男性が「大道芸の観覧に最低限のマナー」という投稿が掲載された。
内容を要約すると「芸の途中で退席するのは芸人に失礼だ」「最後まで観た観客は投げ銭を払うべきだ」と云うものである。
この種の投稿をしてくれる人が居ることは、主催者としてまことに嬉しいことである。
帯広の平原まつりで大道芸を初めて披露したのは12年前の2002年のことである。
それ以来、毎年開催して今年が13回目になるが、帯広の観客の態度は開始当初から較べると格段に良くなっている。
最初、帯広の観客は「投げ銭」という料金システムが理解出来ずにいる人が多くて、芸人もお金を集めるのにとても苦労していたし、いわゆる客を「イジル」芸では、客が前に出るのを渋ったり、出て来てもノリが悪かったりして、とてもやりにくそうであった。
最近は、すぐに出てくれるようになったし、恥ずかしがらずに演技に協力してくれる人が増えた。むしろイジラレタイと思っている観客が増えたのではないだろうか?
芸人さんからの評価も、帯広の観客は「芸を観ようとしてくれる」「ノリが良い」とも言っている。
ただ客席に空間を開け過ぎる人が多いのが難点なのである。
北海道は土地が広いからなのか、ギュウギュウに詰めて観るのが苦手のようで、客席に空間が空いてしまうし、「詰めて下さい」と言ってもなかなか従ってくれない客が多いと言うのである。
「投げ銭」も1千円札を入れてくれる観客の比率が東京などよりも高いと言っていた。
しかし・・・。
帯広の大道芸は続けることが難しくなっているのも事実なのである。
帯広市が平原まつりの予算を10%カットした。それに合わせて関係団体の予算も右倣えした処が多い。
このところ毎年、毎年、予算が減っているのが現状だ。
スポンサーを探そうにも、この時期は勝毎花火大会の寄付集めが大きくて大道芸に寄付してくれる企業は少ないのである。
そもそも大道芸は「北の屋台」の「販売促進費」を使用して始めたものである。だが、私が北の屋台を辞めた2007年からは北の屋台からの寄付も無くなった。
そんな中で、大道芸プロデューサーの金丸雪菜さんが奮闘してくれて、一流の芸人さんを集めてくれてはいるが、それももう限界が来ている。
今年の平原まつりでも、大道芸は圧倒的に観客を集めていたし、観客も他の出し物よりも喜んでくれていたように私には見えた。
それを、出し物の全部を同列にみて大道芸も予算をカットするなんて・・・。
帯広の大道芸ほど、芸人の質が高いフェスティバルは少ないのだ。だから本州各地の大道芸ファンが毎年ツアーを組んで帯広の大道芸を観に来てくれる。いまや「北の大地de大道芸フェスティバル」は観光にも寄与しているといっても過言ではないだろう。
あぁ、それなのにお偉方は何も理解していない。
平原まつりからもしも大道芸が無くなったら・・・。
しかし、このまま改善されなければ来年の開催はかなり難しくなるであろう。
無くなってから「大道芸は良かった」と言われても、それこそ「後の祭り」であるのに・・・。