帯広の「北の大地de大道芸フェスティバル」の今後の運営の仕方を考えてみた。
帯広の良いところは①運営する側に大道芸のことをよく理解している人間が居るところである。
芸人が何を求め、何を欲しているかを解っていることは環境の面でも、待遇の面でも大きな差が出てくるであろう。
ただ、理解はしていても「北の大地de大道芸フェスティバル」は大道芸としての単独開催イベントではなく「平原まつり」の中の一イベントという扱いであることから、他のイベントとの調整が難しいという難点があるのも事実である。
良いところの②はプロダクションやエージェントなどを通さずに、信頼できる一流の芸人が、これはと思う一流の芸人に直接声掛けをして出演者を決めている点だろう。
単なるお金の多寡ではなく芸人としての「芸の楽しみ方」のひとつとして来てくれる芸人がいるのは嬉しいことだ。
だからこそ、帯広の出演者のレベルは世界最高レベルの芸人ばかりなのだ。今回もカナダ人の男女のコンビ「ストリート・サーカス」の2人は、この芸人同士の信頼関係から、帯広のフェスに参加する為だけに、わざわざカナダのトロントから駆け付けてくれたほどなのだ。
これだけの高レベルの芸人ばかりが集まるフェスは他にはない。
芸人同士が仲間意識を持って出演者を決めているのは他のフェスティバルにはないシステムであろう。
だから家族的な優しい雰囲気が生まれ、帯広でだけのコラボレーションや一夜限りのファイナルショーなどが出来るのである。この一夜限りのファイナルショーをやることを楽しみにしている芸人も増えているのが嬉しいことだ。
この出演者全員による即興のファイナルショーを見る為にわざわざ本州から来るファンが居るほどの帯広の大道芸フェスの名物になっているのである。
観客の見方も当初からみると格段に良くなってきている。まだ客席に隙間を空けたり、後ろの客の邪魔になるような立ち方をする客も居るには居るが、大道芸を「見よう」もしくは「見てやろう」という観客としての意識が感じられる人が増えてきているし、「投げ銭」を入れる観客の割合も増えてきている。
大道芸は、芸人と観客とスタッフが一体となったときに上手く機能する芸だ。観客を「いじる」芸でも、出ることを拒む客が減ってきて、逆に「いじられる」ことを楽しんだり、望む客も増えてきた。十勝毎日新聞社と組むことで新聞紙上で「大道芸の見方」などを毎年掲載し啓蒙していることで観客のマナーが向上してきているようなのである。
帯広の問題点は①に大道芸単独のイベントではない点がある。プログラムや演技場所などで自由が利かないという問題点だ。また「平原まつり」として企業から寄付金を募るので、大道芸単体としての寄付が別個に集め難いという問題点もある。
そのために、運営費などの金銭面ではまつり実行委員会におんぶにだっこという状態にある。今回もまつり総体の予算が削られたことを受けて、大道芸の予算も削られてしまったから、大道芸フェスとしてはますます運営が厳しくなっている。
このままの予算額では、呼べる芸人の数は減る一方であろう。
これまでの芸人の質を保つのは限界にきているのだ。誰かスポンサーになって欲しい〜。
もうひとつの問題点は、スタッフの人数の少なさである。せめて芸人1人に対して2人ずつは付けてあげたいのだが、そのボランティアスタッフが集まらない。
これが帯広の抱える最大の問題点なのである。
芸人と親しくなれて、しかも一般の人は見ることが出来ない楽屋裏まで見る事が出来るスタッフは面白いことこの上ないと思うのだが・・・。
来年に向けて、この資金面の問題とスタッフの人数の問題を早急に解決しなければならない。