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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2014-10-14-Tuesday 掲載忘れ2

2009年3月27日読売新聞北海道版「風向計」掲載

「コンパクトな中心街を」

2005年3月、政府から「観光カリスマ百選」に選ばれた。以後、全国各地で講演の機会が増えた。まだ訪れていない都道府県は長崎と佐賀だけとなった。

講演に招かれると、観光名所や旧跡をガイド付きで案内してもらえる。プライベートで訪れる場合に比べ、その土地の事情に詳しくなれる。旅行好きの私としてはとてもありがたい。

講演のテーマが「中心市街地活性化」の場合には、その街の中心街を案内してもらうことになる。実際は「シャッター通り」化してしまった場所が多い。ほとんどの街が郊外の大型ショッピングセンターに客を奪われて寂れてしまっている。

寂れた街を見るにつけ、「人口は力である」ということを改めて痛感させられる。ある程度のまとまった人口がなければ、学校も病院も、店も成り立たない。

人口が右肩上がりに増えた時代は2005年で終わった。何も対策を講じなければ今後の日本の人口は減り続けていくだけだ。

ベクトルの向きを、人口増加時代の「拡大路線の政策」から「縮小路線の政策」に変えることが必要になっているはずなのに、切り替えはうまく行なわれていない。たとえ、今すぐ実施できる妙案があったとしても、効果を生むには10年以上かかることを覚悟した方がいいだろう。まちづくりに即効性のある劇薬は、副作用も心配されるからだ。

今日の若者たちの閉塞感は、絶望に近い感覚と見受けられる。未来にバラ色の夢を描けなければ、子供を産み、育てようという気にだってならない。

道東地方ではただでさえ人口密度が低いのに、離農地が売られて農業の大型化が進行し、過疎化に拍車がかかっている。道東では隣の家との距離が1キロということだって珍しくないのだ。

この結果、自動車を運転できる親が農地の近くに住み、移動の足を持たない小・中学生を遠くの最寄りの学校まで通わせなければならない。教育を受ける前提条件は都市部と同じではない。

経済合理性だけに任せれば、ますます過疎地には人が住めなくなるのは必定だ。かといって札幌に一極集中させるというのには、北海道はあまりに広すぎる。

地域ごとにコンパクトシティーを実現し、人が集まって暮らす「中心街」と、自然豊かな「郊外」とのメリハリをはっきりさせることが北海道にとって唯一の解決策だと私は考えている。コンパクトシティーは日常の暮らしにも、非日常の観光にも得策となるはずだ。