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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2015-02-19-Thursday からくり箱

マジックの師匠の

故ジミー忍師から送られてきた道具類の中に「からくり細工安兵衛」と書かれた箱があり、その中に木製の「本」の形をした「からくり箱」が入っていた。

私も、パズルの類は大好きで、以前に箱根に行った際には「樽」状のからくり箱を購入している。この樽のからくり箱の開け方はけっこう難しくて、中に鉄の球が入っており、これをあるバランス点に収まる様に、樽をゆっくり転がしていき、そのバランス点に球が収まると鍵が外れるという仕掛けになっていた。

去年の11月中旬に、師匠夫人のマコママが帯広に来て、マジック博物館の展示物の整理を手伝ってくれている時に見つけたのだが、その時は忙しかったのでそのままにしておいたのだ。

今日、マジック博物館の展示作業をしている時に、再度、目に着いたので、事務所に持ち帰り、開けてみようと思ったのである。

本の形のどこかの一辺がスライドして鍵が外れるようなるのだと思ったのだが、どの辺を力一杯にズラそうとしてもどこもピクリとも動かない。

何度、どの方向にやってもダメなのである。

インターネットで「からくり細工安兵衛」を検索してみたら、作者は亀井明夫さんと云う方で、からくり箱の作者として世界的に有名な人であった。残念ながらHPには開け方は解説されていない。

そこで、今度は、箱根の寄木細工の専門店を探して、そこにメールを打ってみたら、すぐに返事をくれて開け方を図説を付けて教えてくれたのであったが・・・。

本の表紙の板がスライドして鍵が外れるという極単純な仕掛けなのだが、その表紙の板がまるで動かないのだ。よく見ると、板が乾燥の為なのか反ってしまっている。この反りが引っ掛かって動かないのかもしれない。

ジミー師匠が亡くなってから20年経っているので、少なくとも20年以上は開けたことがないであろうから、木がくっついてしまっているのだろう。

解説書に書いてある開け方に従うのだから、木が固くて動かなくても、よもや壊れることはないだろうと思い、木槌を出してきて、布を当てて、図面に書いてある方向に叩いてみたら、ようやく少しずつ板が動いてきたのであった。

一度、開けてみて、板の反りを直し、パラフィンを塗って滑り易くしたら、今度は簡単に開閉できるようになった。

おそらく、専門店の人には、こんな簡単な開け方も解らない奴なのかと思われたかもしれないので悔しい気がするが・・・。

しかし、木材の乾燥に依る狂いは、こう云った細工物では命取りであるなぁ。「樽」状のからくり箱も乾燥してバラバラになって壊れてしまったのであった。

ここで、調べた「からくり箱」のウンチクを少々。

「秘密箱」のルーツは、江戸後期の1830年頃と伝えられ、明治時代には「智恵箱」と呼ばれるようになった。現在のような秘密箱が作られるようになったのは1894年(明治27年)頃であり、箱根湯本の指物職人、大川隆五郎によって考案された。

「秘密箱」は箱の側面を順番通りにスライドさせると開ける事ができるが、スライドさせる回数が多くなるほど難しくなる。回数の少ない箱は4回、多い箱は72回。一番すごいのは125回の秘密箱もある。こうなるとお手上げである。因みに私は十数回のスライドで開けられる秘密箱も所持しているが、開け方は忘れてしまった。

亀井明夫さんは、この秘密箱を現代風に創作している人で、1981年に独立して「安兵衛」という名の工房を起こした人である。