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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2015-03-30-Monday 最初で最後の

2015年3月30日十勝毎日新聞「論壇」掲載

「最初で最後のマジックショー」

日本有数のアマチュア・マジシャン3人が、去年、偶然にも帯広に集結した。3人ともいわゆる転勤族で、それぞれの職業とステージネームは、自衛官(ミスター・セリック)、生保マン(マジマジシャン)、銀行マン(スペンサー・トリックス)である。大都会ならいざ知らず、帯広のような地方都市に3人もの有名マジシャンが同時期に転勤して来たのは奇跡に近い出来事であった。

私も40年ほど前にはプロマジシャンになることを夢見ていた人間である。マジック界は狭い世界だから、この情報はすぐに共有するところとなり、誰知れず声を掛け合って4人が集まり、互いにマジックを披露し合う会を数回催したのであった。

マジックは、落語と同じように先人が作った「古典」を演じる人もいれば、自分で考案した「創作」を演じる人もいる。3人は創作マジックでは日本有数の名手なのだ。私も刺激を受けてマジックの練習を再開した。

今年も、集まってはマジックを楽しもうと考えていたのだが、この春、2人が帯広を離れることになった。一人は転勤、もう一人は会社を辞めてプロのマジシャンになるという。

帯広を離れる前にマジックの送別会をやろうとなった。当初はこの4人だけで見せ合う企画、次には10人ほどの観客を入れて実施する予定だった。観客を入れることで、程良い緊張感を得たかったからである。この企画が新聞に載ったところ、観覧希望者が殺到したため会場を広い場所に変更して対応することにした。

マジックには、人が入れ替わったり、人が空中に浮いたりするような大掛かりな装置を使った「イリュージョン」といわれるものから、舞台などでハトや花などを出したりする「ステージマジック」、コインやトランプなどの小物を使って技術で見せる「クロースアップマジック」などの分類がある。

今回はお互いのテクニックを見せ合おうという趣旨から「スライハンド&クロースアップ」を選んだので観客数は30人が限度だった。

3月22日の日曜日の夕方から、帯広市内の坂本ビルの1室を会場に、帯広在住のアマチュア・マジシャン1名を加えて5人の演技者で「最初で最後のマジックショー」を開催した。

マジックはテレビ画面を通して見るよりも、目の前の実演を見た方が不思議さははるかに倍増する。観客と演技者との生のやり取りが面白いのである。5人揃っての生演技を見ることができた30人の観客は幸運な人たちであった。