ここ最近、テレビや新聞で「マジック・ミュージアムのプレ・オープン式」の件が立て続けに報道されたから、私のマジックを見てみたということなのだろう。
しかし、結果的には3件ともお断りをしたのであった。
理由は単純明快で、数年前に作った衣装のタキシードが、太ってしまって着られなくなっているからだ。
ジミー忍一門には、衣装に関してかなり厳しい教えがある。
本格的にマジックを演じる以上は、プロ意識を持って、衣装もバッチリと決めなければならないのである。普段着のスーツ姿でステージに立ってはいけないのである。
前年に作った洋服が着られないような太り様の状況では、数年前に作った服など、上着の前ボタンすら留まらない。
マジックは身体のあちらこちらにタネを隠しておく必要があるから、衣装は普段着よりも若干大き目でなければならないのに、前ボタンすら留まらない服では窮屈過ぎて演技など不可能なのである。
それでも2〜3年前までは、どうしても断われない依頼があった時には、ステージ衣装を必要としないロープマジックを演じていたのだが、いつも同じ演目ばかりを演じていると、それしか出来ないと思われるのも癪なことなのである。
他人は「じゃぁ、衣装を新しく作ったら?」と簡単に言うが・・・。
ステージ用の衣装は、普段着のスーツよりも高価であるし、私が演じる演目用の特殊な仕掛けを施さなければならないから、帯広のテーラーでは対応が出来ないのである。
だから、現在はトランプやコインなどの小さなモノを使って、10名以下のテーブルマジックくらいのものでなら対応が出来るが、30名を超えるような場所では演じる演目がないというのが現状なのである。
私の演じるマジックを観たいと思ってくれるのは嬉しいことだが、痩せるまで待ってもらいたい。
そうなると、ステージでの実演はもう永遠に来ないかも・・・。