ヒッチコック監督の映画の大ファンであり、彼の伝記から映画術の本、彼の主だった監督作品はLDやVHDやDVDで全て持っている身としては、2012年の公開時に観たかった映画であったが、残念ながら帯広の映画館では上映がされなくて観ることが出来なかったのである。
幼少の頃に、映画好きの親父に連れられて、字幕の漢字も読めずに、内容も良く分からないのに観た映画が多い。
後年、テレビの映画番組で見て、あれっ、この映画はどこかで観た記憶があるぞと感じたことが多々あった。
ヒッチコックの映画もそうであった。
子供の頃には、テレビで「ヒッチコック劇場」と云う番組があって、冒頭にヒッチコックが出て来て導入の話をするのだが、熊倉一雄の声と風体が妙にマッチしていて面白かった。
私のスリルとサスペンスへの愛着はヒッチコックによって醸成されたといっても過言ではない。
朝、新聞を見ていてテレビ欄に、この「ヒッチコック」の紹介記事が載っていたのを見て、何としても観たいと思ったのである。
局がNHKと云うのも良い。映画の途中でCMが入るのは興醒めであるからだ。
主演のヒッチコック役は名優の誉れ高いアンソニー・ホプキンスである。奥さまのアロマ役は、これまた実力派のヘレン・ミレン。ジャネット・リー役はスカーレット・ヨハンソンと云う魅力的な配役で、映画「サイコ」の裏話を軸に展開する映画である。
実に面白かった。
ヒッチコック役のアンソニー・ホプキンスは名優と云うよりも、怪優である。あの独特の体躯をしたヒッチコックに、体型まで実に良く似せていて違和感がまったくなかった。
CMの無いNHKにこそ、こう云う良い映画をもっともっと観せてもらいたいものだ。
私も、天才ヒッチコックに段々と近づいていると自負している、その体型だけだけどね・・・。