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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2016-02-25-Thursday 不思議な来客

会社に不思議な来客があった。

新聞を見て、私にマジックの趣味があると云うことを知り、是非とも相談に乗ってほしいことがあると云う。品の良い高齢の女性である。

内容を尋ねると「帯広に80年も暮らしているから、坂本さんがダンスホールをやっていた頃から知っている」「私の自宅の隣の住人が、3〜4年前から自分に対して念力を掛けてくるので困っている」のだと云う。

「念力って、どう云うことですか?もう少し具体的に言っていただかないと解りませんが・・・」と言うと、「念力だけではない。盗聴も監視もされている」と云う。尋ねても自分の住所も名前も一切言わない。

アッこれはちょっとマズイ人かなぁ〜と思ったが・・・。

「私を念力で操っている。この間は、冷蔵庫の中に入れたモノがいつの間にか無くなっていたり、入れた覚えのないモノが入っていたりする」「いつも監視されていて、盗聴もされている。私に嫌がらせをして、ここから追い出そうとしている」と云う。

「申し訳ありませんが、私は、こういう件では、お役に立てないと思います。お子さんか親類の方は近くに居られないのでしょうか?」と聞いたら「兄弟も皆死んで、子供も居ない。私一人だ」と云う。

「盗聴されていると云うなら警察に相談するか、市役所に相談されてみたらどうでしょう?」と云うと「警察も隣の人に丸め込まれているし、市役所も同じで丸め込まれていて相手にしてくれない」と云う。

この間、何度か他の来客があったりしたので中座したのだが、帰る気配がまったくないのだ。

「念力で私を自由に操ることが出来るんでしょうか?」と聞くから「私は、そう云う超能力的なものはマジックのトリックを使っても出来るものなので、在るとは思っていませんが・・・」と言ったのだが・・・。

「でも、その人は私に毎日念力を送って来て嫌がらせをして、私を眠らせてくれないし、ここに来る間にも何人も私の後を着けて来る。いつも私を監視している」のだと言って譲らないのである。

あぁ〜、これは認知症にプラスして被害妄想に陥っているなぁ〜と感じたが・・・。

困ったなぁ〜。本当に弱ってしまった。かと言って追い返すわけにもいかないし・・・。

その後、数十分間に渡って同じ様な話の繰り返しが続いた。

いよいよ困って4階の介護ショップの従業員にSOSを出して6階に来てもらい、相手をしてもらったら、ようやく「また今度・・・」と云うことで退室してもらった。

昔の事や、最近の新聞の事などは解るのだろう。会話がまったく通じないと云うことではないのだが、自分の思い込んだことは絶対に譲ろうとしないのだ。

ところどころマダラ状に忘れるから、自分がやった行為を忘れている間と、自分がやったのを覚えている行為とのギャップが、頭の中で連続しないから不思議に思えてしまうのだろう。それで、隣人の念力の仕業だと思い込んだのだろうなぁ〜。

独居老人で、近くに親族も居なく、身体が健康で足腰が丈夫、自分で何処へでも歩いて行けて・・・、その人が認知症になって、更に被害妄想に陥ってしまったら・・・。

少子高齢化でこう云う方が増えるのだろうなぁ。これからの日本は、どうするのだろうか?

実際に体験してみると、改めて日本の将来が恐い!と感じたのであった。