見本市が札幌で開催される。付き合って欲しいと云うので、私も同行することにした。
この見本市と云うのは、昔はよく行ったものである。かつては、北海道土産品の見本市と云うのが、札幌市と旭川市で開催されていて、仕入れの為に出掛けたものだった。
過去形で書いたのは、もう土産品の見本市が消滅してから久しいからである。
1年に一度、土産品の総合卸商社HB社が、広い会場を借り切って開催していた。その地域一番店であるHB社の見本市と同じ時期にぶつけて、他の商社も開催するのである。
HB社は旅費や日当や食事代等を払ってくれたし、他の商社も旅費までは出さないが日当や食事代などは払ってくれたものだった。
数社の見本市を巡ると、逆にお財布のお金が増えた時代でもあったのだ。札幌の見本市には列車で行ったが、旭川での見本市は鉄路の乗り継ぎの不便さもあったので、自家用車にスキーを積んで出掛けたものだった。古き良き時代だったと云うべきか・・・。
全道的にみやげ品が、お菓子全盛になると、重たくて嵩張る木彫り熊などは、まったく売れなくなった。
木彫の零細工場が次々と廃業し、職人も減り、みやげ品店も激減した。もはや土産品店は阿寒などの温泉地や観光地にしか、なくなったといっても良いほどである。
北海道で、最も古い土産品店としての「坂本勝玉堂」は一応、廃業はせずに残してあるが、開店休業状態である。
みやげ品に代わって、妻が始めた介護部門の見本市に行くというのも、時代の変化と云うものかと、変な感傷を覚えるが、私は札幌で別行動を取ったのであった。