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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2017-11-25-Saturday 木彫熊

ここ最近、木彫熊に関する問い合わせが増えている。

先週は、4件の木彫熊関係の来店があった。

かつては(昭和30年代後半から40年代に掛けて)通過型観光と揶揄された帯広の街中の土産品屋であった我が社でも、鮭を口に咥えた「鮭喰熊」の木彫りが爆発的に売れた時代があったのだ。

その多くは、新婚旅行の土産品としてであった。

当時の「旅行」は一生に一度の一大事であったので、旅行に出掛ける人には「餞別(せんべつ)」を渡す風習があった。餞別を渡された方は、お返しにお土産を買って帰る。そのお返しとして熊の木彫りが大人気であったのだ。

海外旅行は高値の花で、「新婚旅行」は国内旅行が主流の時代であり、北海道は人気の場所であった。

当時の我が社でも、新婚のカップルさんが、貰った餞別の金額に合わせて熊の大きさを選んでは、一組で10個、20個と買っていく光景が見られたのである。

観光地ではない我が社ですら、そんな状況であったのだから、観光地の土産品屋なら、もっとすごい状況であったことだろう。

北海道中の土産品屋が販売した木彫熊の数は、おそらく日本の世帯数よりも多かったんじゃぁないだろうか?

当時はどこの家に行っても、床の間や玄関先やテレビの上に熊の木彫りが飾られていたものだ。

住宅事情が核家族化から面積が狭くなり、床の間や玄関先などの飾るスペースも狭くなっていったし、おまけに最近ではテレビは液晶画面になって薄くなり、上にモノを飾れなくなってしまった。

もらっても置き場所に困るから、敬遠されるようになってきて、食べたら形が無くなる食品類、特にお菓子類にお土産の主流が移っていったのだ。

また、土産品屋の姿勢にも問題があった。どこかの店の商品がヒットしたら、すぐにそれを真似た商品が全道中の土産品屋に並べられる。店の特色を失い、客の信用も失ったのである。

段々と売れなくなり、あれだけ全道中にあった土産品屋は転業や廃業に追い込まれた。問屋も減り、木工品の工場も減った。大勢いた木彫りの職人も後継者が減り、高齢化してしまったし、亡くなった人も多い。

現在では、残った腕の良い職人は、芸術的な作風の木彫品を細々と製作して生活している。

我が社でも民芸品部門はただ飾っているだけで販売しようという意欲も見られない売り方だ。それが、ホームページ上で紹介している商品の問い合わせや、実際に来店する客が出てきたのである。

何故だか、ここ最近急に、木彫熊が注目される様になってきたようなのだ。でも、もう少し早かったらなぁ〜・・・。

せっかく築き上げた職人の技術を次世代に伝承してもらいたいものである。そのお手伝いが出来たら嬉しいのだが・・・。