カンヌ映画祭で最高賞のパルムドール賞を受賞した是枝裕和監督の作品である。
疑似家族(本当の家族ではない)が「万引き」などの犯罪で「繋がる」と云う設定である。
血の繋がった本当の家族が「絆」の深い良い家族ばかりなのか?
映画を観ていて、数日前にニュースになった、5歳児虐待事件の犠牲者の船戸結愛ちゃんの姿が、この映画に登場する5歳の女の子に重なって見えてしようがなかったのである。
幸せ、優しさ、実の親、育ての親、家庭って一体何なんだろう?と語りかけてくる映画である。
例によって、詳しい内容は、タネ明かしになってしまうから、まだ観ていない人の為に書かないが・・・。
リリー・フランキーは、自堕落な男を演じさせたら、これほどピッタリくる役者は居ないなぁ〜。安藤サクラも実に上手い役者やなぁ〜。松岡茉優には監督の、清純派女優ではなく演技派女優に育てたいと云う愛情を感じたねぇ〜。脇役にも実力派を揃えているから、安心して観ていられる。
ワクワクするような映画ではないが、是枝監督が撮ってきた「家族」を扱った「誰も知らない」「そして父になる」の一連の作品の集大成なのかもしれない。前作を観た人は必見であるし、観ていない人は前二作も観るべきであろう。
是枝監督の考え方を押し付ける映画ではなく、観客の人数分以上の解釈が成り立つ映画を作ろうとしているのだろう。
その傾向は「三度目の殺人」にも見られて良かったし、是枝監督は乗っているねぇ〜。
ただ、現在の日本人は、自ら考えることを止めてしまった感があるから、この手のスッキリしない映画は、興行的には難しいかもね。アッ、でも日本人は権威に弱いから、カンヌ映画祭のパルムドール受賞作ってだけで観るかもね・・・。