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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2018-07-09-Monday 支那蒸籠

マジック・ミュージアムにまた寄贈品が届いたが・・・。

送られて来た寄贈品の「壺」を見て妻が「何この壺!壺としてはまるで使い道がないじゃないの!」と云う。

寄贈してくれた方も、何に使うか分からずに、どうやらこれはマジックの道具らしいなぁと思ったのだろう。「マジック・ミュージアムに寄贈します。要らなければ捨てて下さい」との付箋紙が貼ってあった。

送られてきたのは「銅製の壺」である。それこそ、落語の古道具屋に出てくる与太郎が言うような「底が抜けていて、水もほとんど入らないし、花も生けられないヘンテコリンな壺」なのである。

見かけ上は一応、壺の形をしてはいるが、壺としては何の役にも立ちはしない。

これは、中国奇術の「支那蒸籠(しなせいろ)」と云う中国の伝統的なマジックに使う道具なのである。

木製の大小二つに重なる円筒形の大きな筒(蒸籠)を交互に持ち上げて中を改め、客には筒の中には何も無いことを確認する。その筒の中から、果物やらお菓子やらオモチャなどを沢山、何度も何度も取り出していくプロダクションマジックなのである。

マジックの終盤に迫った頃には、この円筒の中から水が一杯に入った大きな壺が現れる。この壺は、小さな円筒よりも円周が大きくて、客はどうしてこんな大きな水の一杯入った壺が、この筒の中から出現したのかとても不思議がるのである。

そして最後には、またこの壺が忽然と消えて無くなる。

私も好きな演目のマジックの一つで、たま〜に演じることがある。

今回は、その壺だけが送られてきたのだ。

私の持っている支那蒸籠の壺はステンレス製で、内側の中央部には溶接で継いだ跡があっていかにも安っぽい感じがするのだが、今回寄贈された壺は銅で出来ていて、しかも中央には継ぎ目などもまったく見えないから、一枚の銅板から打ち出して曲線を作ったのかもしれない。色からしていかにも重厚な感じがする壺なのである。

銅で作った支那蒸籠の壺はこれまでに見たことがない。

今回、送られて来たのは、この壺だけであって、木製の筒(蒸籠)もその他の道具も他には何も入っていない。

送ってくれた人に「どなたが使用していたものですか?」と尋ねたのだが、まったく分からないと云う。何故、家にあったのかも知らないと云う。来歴は不明なのであるが、想像するに、かなり高価な古い道具である。ひょっとすると特注品で作らせたモノなのかもしれない。

いずれにしても、私に取っては超がつくお宝である。

こんな貴重なモノを捨てられたのではマジック界の損失である。綺麗に磨いて展示することにしよう。