「小劇場」
十勝毎日新聞1月29日付に「まちなかに小劇場を」との大見出しで、坂本ビルの地階に小劇場を造る計画が進行しているという記事がデカデカと掲載された。
坂本ビルの地階にはかつて居酒屋が入居して繁盛していたのだが、退去後は長らく空きスペースとなっている。
平原通が飲食店化していく先鞭(せんべん)をつけたのは、おそらく坂本ビルなのであろうが・・・。帯広の人手不足は深刻だ。もともと学生のバイトが少ない上に、主婦のバイトも農繁期は出面さんに移る傾向があるようだ。
物販も、ひと頃は中心街からロードサイド店に客足が移り、現在は、それがネット販売に移っている。経済は生き物であり、時代の流れと言ってしまえば身もふたもないが・・・。ビルのオーナーとしては、空きスペースの有効活用は必須である。
私の趣味は「マジック」だ。11歳からやっているから、かれこれ半世紀も飽きずにやっているが、帯広には、文化を発信する適度な場所が少ないことを危惧している。
芸能事は、何事も「場数を踏む」ことが上達の秘訣(ひけつ)であると思っている。だが、帯広にはそのための適度な会場がない。客席が平らな会場では、前席に座る人の頭が邪魔して演技者の手元が見え難いから、階段状の客席がある会場が望ましいのだが、適度な客席数ではないのだ。帯広市民文化小ホールは560席、とかちプラザのレインボーホールは350席。
この大きさの箱を満杯にするのはそう容易なことではない、リサイタルの企画をするにしても、せいぜい年に一度が精いっぱいとなる。
帯広市の人口規模ならば100席程度の小劇場がちょうど良い大きさだと思うのである。チケット100枚ならば販売も楽になるから、演劇、音楽、映画、落語などなら年数回の開催が可能になるだろう。
想像してみてほしい、350席の会場を借りて、もしも客数が100人だったならば、3分の2が空席では盛り上がらない。沢田研二ではないが、演者側の心理としては常に満席状態で演じたいものなのだ。
下北沢の小劇場に出演した経験があるが、ステージは狭く、楽屋もなく、出演者側には使い勝手が悪い会場が多かった。いずれの会場も、古い建物を改造して造っていたから、客席数を確保しようとすると、演じる側のスペースに無理が掛かってしまう。
私はオーナー側と演者側の両方の心理が分かるから、その両問題を解決したいと考えている。だが、諸問題を解決するにはまだまだ協力者を必要としている。