Sさん(93)の死亡広告が掲載されていた。
目を疑った!
5月5日にこのSさんの奥さんが亡くなったばかりである。
この奥さんの死亡広告は「葬儀は家族葬で済ませた」とあり、葬儀は行わない旨が書かれていたので、自宅に伺うのも遠慮したのであった。
Sさんは昭和27年に父がダンスホールを開業した頃に坂本商事に入社した人で、以来、父が亡くなった後もしばらく勤務してくれた人なのである。
サックスが演奏できてダンディでダンスホールの支配人みたいな仕事をしていた。ダンスホールが焼失して坂本ビルを建てた後はビル管理の仕事をしてもらい、60年近くも我が社に勤務してくれた人である。
母が父に嫁いだのが昭和30年であるから、父にとっては母よりも長い年月の付き合いなのである。
Sさんは毎日、日記を書いていたが、樺太からの引揚者であり、ロシア語で書いていたので、他には誰も読めないからと会社の机の上に置いていたのであった。我が社の生き字引みたいな人であった。
先日亡くなった奥さんの四十九日のお参りに行って、Sさんがお元気な内に、昔のことを聞きたいと思っていたところであった。
Sさんの葬儀は、死亡広告によると21日に我が家の近所のセレモニーホールで行う旨が載っていたので参列してきた。
息子さんの話によると、以前から心臓は悪かったのだが、奥さんが亡くなってから、気落ちして急に元気が無くなった。17日に自宅のお風呂に入っているときに意識を失ったので救急車で病院に搬送したが、そのまま帰らぬ人となったそうである。
男というのは、妻に先立たれると心身共に弱ってしまうと言われているが、12日後というのは少し早過ぎるよなぁ〜。
見方によっては、愛妻と一緒に旅立ちたかったのかもと・・・
長らくありがとうございました。ご冥福をお祈りします。合掌