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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2022-11-20-Sunday 十勝石が国宝?

黒曜石の石器類が国宝に指定されそうだという。

昨日の北海道新聞の一面トップ記事に扱われていた。

北海道の遠軽・白滝地方の遺跡群から出土した後期旧石器時代(約3万年前~1万5千年前)の黒曜石などの石器類を国宝に指定するように、国の文化審議会(会長:佐藤信東大名誉教授)が永岡桂子文部科学大臣に答申したのだという。来春にも正式に指定されるもようである。

旧石器時代の遺物の国宝指定は初めてのことで指定されれば日本最古の国宝となる。

北海道からの国宝指定は2007年の中空土偶(函館市)に続いて2件目だという。

へぇぇ~、石器が国宝にねぇ~。なんだかあまりピンとは来ないがなぁ~・・・、黒曜石は北海道では「十勝石」と呼ばれる方がシックリくる呼び名である。

この「十勝石」と云う名称は、江戸時代に蝦夷地探検をした松浦武四郎が命名したものであるが、その名称の普及には、我が祖父の坂本勝(かつ)が大きく貢献しているのだ。

勝は明治34年に山梨県から単身、下見に来道し、明治36年に自身の名前の一字が入った「十勝」を気に入り、現在の池田町凋寒(しぼさむ)村(利別)に移住してきた。

北海道を下見に来た理由というのが、山梨県の甲府市で印鑑屋の修行をしている時に、北海道から黒曜石が沢山運び込まれたのを見たからだ。

北海道にはこの黒い石がそこら中に転がっていると聞いたからである。タダで手に入る印材が辺り一面に転がっているならば大儲け出来ると考えたのかもしれないなぁ(笑)

山梨県北巨摩郡の狭隘な山間部に住んでいた勝が、十勝平野に下見に入った時に、この広大で真っ平らな土地を一目見てすっかり魅了されたのだという。

黒曜石は「ガラス製火山岩」で貝殻状に欠け易い性質があるので「印材」としては不適格であったが、風鎮(掛け軸の重り)や硯(すずり)や達磨の置物などに加工して販売することにして「坂本勝玉堂」を開業したのであった。

明治38年の釧路−札幌間を結ぶ鉄道が帯広まで延びた時に、これからは池田よりも帯広の時代になると確信して帯広町西2条南4丁目20番地に移転してきたのであった。

この店舗の屋根には大きく「十勝石細工」の看板が掲げられた。

勝は十勝石細工の普及に努め、全国各地の名産品展などに積極的に出品して歩いたのである。

札幌の南2条西3丁目にも支店を構えて全道中に「十勝石」を名産品として認識させたのであった。

以来、北海道では「黒曜石」という名称よりも「十勝石」という名称の方が通り名となったのである。

そんな十勝石(黒曜石)が、国宝指定で再び脚を浴びるチャンスが訪れるかもしれないなぁ~と思うと密かな期待を寄せずにはいられない。

我が家の倉庫には、まだ十勝石が大量に眠っているからだ。