第二次世界大戦最末期に、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して攻めて来たソ連軍によって60万人もの軍人らが不当にシベリアに抑留されて、鉄道敷設などの重労働をさせられた。これはその実話を元にした映画である。
義父はこのシベリア抑留帰りだ。
すでに他界してしまったが、義父の経験したシベリア抑留のことを少しでも知りたくて妻と二人で観に行った。
原作は辺見じゅんの「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」である。実在の人物である山本旗男氏らの実話を元に書かれた小説だ。
主演は二宮和也(山本旗男)、北川景子(山本モジミ)で夫婦を演じた。他の出演者には安田顕、松坂桃李、桐谷健太、中島健人らである。
終戦直後の1945年から9年間もの長い間、国際法違反で不当にシベリアに抑留され、満足な食事も与えられずに重労働を課せられ死んでいった人達の実体験を元に書かれた原作である。
実話であると聞いていたから、主人公の山本旗男の生まれた年を調べてみると1908(明治41)年と載っていた。義父は1924(大正13)年の生まれであるから、義父よりも16歳年長ということになる。
1945年の終戦当時の年齢だと、山本旗男氏は37歳ということになる。
最近私は、年齢から来る涙腺の緩み具合が著しいから、映画を観たらたぶん泣くであろうなぁと思ってハンカチとティッシュを持って観に行った。
例によって、まだ観ていない人の為に、種明かしになる様なことは書かないつもりであるが、一点だけ書く、シベリアから帰国する際の場面に犬を使ったのはズルいなぁ。それまでずっと涙を堪えて観ていたのに、この場面がキッカケとなって涙が止まらなくなってしまったのだった。
義父というとても身近な者がこの過酷な状況の体験者だと思うと落涙を堪えられなくなってしまったのである。
義父がシベリア抑留から戻り、義母と結婚していなければ、我が妻はこの世に存在してはいない。
よくぞ無事に戻って来てくれたものだと思う。
人間の縁とは不思議なものである。
皆が不幸になる戦争を人間は何故にするのであろうかなぁ?