ラジオを聞いていたら、藤丸閉店へのメッセージを募集していて、それを紹介していた。
聞き流していたが、ひょんなことから、小咄好きの先輩であった故Kさんの藤丸を舞台にした小咄を思い出した。元々は、ラジオでやっていた小咄をKさんが藤丸を舞台に替えただけなのであるが、何故だか頭から離れないので紹介する。
小咄の題名は「悪の十字架」である。
ある時、藤丸デパートの正面出入口の前に、一人の老婆が立っていた。
心配になって、その老婆に「何をしているのですか?」と尋ねた。
すると老婆が「デパートが開くのを待っているんじゃ」と答えたので、「開店時間にはまだ間がありますよ」と親切に教えてあげた。
老婆は「開店時間はいったい何時なんじゃ」と聞くから「10時ですよ」と教えてあげたら、老婆が「そうか、開くの10時か」・・・「あくのじゅうじか」
とアクセントを変えて言うたわいもない小咄である。
このKさんは、この手の小咄が大好きで「花咲か爺さん」は「はなさんかじじい」とか、昔ラジオの深夜番組で流行った小咄を持ちネタにして笑いを取っていた。そんなことをふと思い出したのであった。