前評判では東映の70周年記念作品とあるし、映画館に置いてあったパンフレットには総製作費20億円のビッグプロジェクトで、今までとは全く違う新たな視点で描く・・・云々との触れ込みである。
元々、いわゆる正史的な通説と言われる歴史物の大好きな人間であるし、最近は、井沢元彦、関裕二、高田崇史などの歴史の謎の新解釈本も大好きで、彼らの著作のほとんどを読破している。
ましてや、昨日は加治将一の「第六天魔王信長 消されたキリシタン王国(祥伝社文庫)令和5年1月20日発行」という、それこそ信長やその周辺の人物像をコペルニクス的転回で描いた新解釈の歴史本を読んだばかりで、知的興奮をしたばかりなのである。
この映画を見ないわけにはいかない。
妻と二人で観に行ったのであった。
例によって封切されたばかりの映画であるから、まだ観ていない人のために手品のタネ明かしみたいなことまでは書かないが・・・。
観終わった後で妻は大絶賛していたが、私は正直がっかりした。
妻が感動したと言うのは信長と濃姫との人間ドラマであって、歴史大好きな私にとっては、他の登場人物はみなチョイ役の扱いでもの足りない内容なのである。
「今まではとは全く違う新たな視点」と銘打ったと思われる場面に期待したのだが、私にはその「新しい視点」とやらがまったく理解不能な内容であった。「新しい視点」とやらの人物像があまりに唐突な描き方でまったく納得出来るような内容ではなかったのだ。
私が読んでいる井沢、関、高田、加治らの新解釈は、なるほどなぁ~、さもありなんだなぁ~、(強引だけど)理屈に合っているよなぁ~と思わせる内容である。
まぁ所詮、映画はフィクションなんだから娯楽作品として鑑賞するならば良しとしても、歴史の新解釈なんぞを無理に入れ込ませないで、人間ドラマだけで構成していれば、まだしも納得出来たかもしれないが・・・、なんとも中途半端な登場人物の描き方でかえってモヤモヤしてしまった。この内容で3時間の上映時間は私にとっては長過ぎた。
お尻が痛くなってしまったし、隣に座った知人の奥さんの携帯電話の着信音楽が何度も鳴るので余計にイライラしてしまったのであった。映画鑑賞の最低限のマナーくらいは守って観ようぜ!興醒めになる。