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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2023-11-06-Monday 論壇「コスパ!?」

2023年11月6日(月)十勝毎日新聞「論壇」掲載記事

「コスパ!?」

「コスパ」とか「タイパ」という言葉がやたらと耳に入って来る。何のことかと調べてみたら「コストパフォーマンス」と「タイムパフォーマンス」の略語であった。

コストパフォーマンスなら、私も経営者のハシクレであるから昔から使っている言葉だ。以前にとある審議会で私が「イニシャルコスト」「ランニングコスト」「コストパフォーマンス」という言葉を連発した際に、市民参加者から「専門用語を使われるとわれわれにはチンプンカンプン。分かりやすいように日本語で話してください」との注意を受けたことを思い出した。

「コスト」とは「費用」で、「イニシャルコスト」とは初期費用とか導入費用と訳し「事業を始める際に掛かる費用」のこと。「ランニングコスト」とは運転費用あるいは維持費用と訳し「何かを維持するために定期的にかかる費用」のこと。「コストパフォーマンス」は「費用対効果」と訳し「投入した費用に対して得られる価値やメリット」のことである。

これらの用語は経済用語で、経営者として普段から使っていたから、世間でも一般的に使用されているものだと思い込んでいた。当時は経営者らが使用する言葉であったわけだ。それがいつのまにか経営者ではない若者らが略語にして普通に使う世の中になったのだということに驚いた。

もう一方の「タイパ」という言葉は初耳だった。おそらく造語だと思うが「コスパ」が「費用対効果」の略語だから「タイパ」は「時間対効果」とでも訳し「費やす時間に対して得られる効果や満足度」との意味らしい。最近の若者はドラマや映画を早送りして見たりすることも「タイパが良い」と思っているようだ。テレビなどでは味わえない「生」の芸能を鑑賞することが大好きな私には驚愕以外のなにものでもない。芸事の上手下手は「間(ま)」に負うところが大きく、「間」が取れない人のことを「間抜け」と言った。早送りでは肝心の「間」が判らない。

愛読書にミヒャエル・エンデの「モモ」(岩波書店刊)がある。「灰色の男たち」によって時間を奪われていく住人たちのことを「時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしていることには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとり認めようとはしませんでした。」と書かれている。まさに現代人のことではないのか?