「観光カリスマ」として、全国各地を回って講演して歩いた私の実感である。決して身びいきで言っているのではない。心底そう感じているのである。
しかし・・・・・・・・・・・・
そこに暮らす住民が、そのことに安住している。鈍感で脳天気な人たちばかりなのである。逆に土地のポテンシャルの高さが、豊かさが、そうさせているのかもしれない。
十勝は農業国である。昔から言われていた農民気質に「皆と一緒(どんぐりの背比べ)」「突出する人を嫌う」というのがある。
同じ時期に隣近所一斉に種まきをし、一斉に収穫をすることから育まれた気質であろう。抜け駆けする人間を嫌い、変わった人は村八分にする。いわゆる同調圧力である。
十勝人にはどうやらその気質がまだ残っているらしい。
尊敬するコラムニストの山本夏彦翁は短い文章で全てを表す天才であったが、その一文に「嫉妬はしばしば正義を装う」というものがある。
嫉妬心を糧にして、向上心へと昇華させて頑張る人は大成するものだが、嫉妬心を悟られまいとして、さも正義を装って人を蹴落とそうとする奴がいる。そういう輩は卑小な人間である。
幸いなるかな、十勝は「炭鉱町」や「鉄鋼町」等などのいわゆる企業城下町的な場所ではなかった。
中心的な産業が廃れるのと一緒に町も廃れてしまう企業城下町ではなかったことが幸いしたのだ。十勝の中心産業は農業であったが、その農業も「米作」中心ではなく畑作であったことで国の減反政策の影響も少なかった。そのことが、ノンビリした気質を生んだのかもしれない。
しかし、その畑作も大型化し、機械化が進み、大規模化が進んでいる。
地球規模の気候変動によって、収穫可能な農作物の種類も変わってきているであろう。
やがて工業的な農業になっていくのであろう。もはやこれまでと同じことをやっている状況ではなくなってきているである。
十勝人の気質を、嫉妬心を向上心へと昇華させる様に変えていかなければ、今後の農業にも適応出来なくなってしまう可能性もあるであろう。